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今回は宇宙とつながることができるかもしれない、「かぐや姫」と「龍神」を祀る稲荷山のパワースポット、「伏見神寶神社」を紹介します。
稲荷山の中腹に鎮座する伏見神寶神社は、天照大御神と稲荷大明神をお祀りしている神社で、十種神宝を奉安しています。
創祀は平安時代で、かつては稲荷山の山頂付近に祀られていて、宇多天皇をはじめ皇室の信仰も篤かったのですが、政変などにより中世以降は衰退し、1957年(昭和32年)に今の場所に再建されました。
境内には、“衣の神さま”とされる「龍頭社」をはじめ、八大龍王大神、白龍大神などの龍神が祀られています。また“竹取物語”の発祥の地とされる「磐境」、商いと芸能にご利益のある「底津岩戸社」なども鎮座しているパワースポットです。
伏見神寶神社の概要
正式名称:伏見神寶神社(ふしみかんだからじんじゃ)
通称名称:神宝さん(しんぽうさん)
御神祭:天照大御神
御相殿:稲荷大明神
創祀:平安時代初期
再建:1957年(昭和32年)
伏見神寶神社の入り口には「伏見寶神社 御由緒略記」という石板が掲げられています。
伏見神寶神社 御由緒略記
御神祭:天照大御神
御相殿:稲荷大明神
伏見神寳神社は、我が国最古至尊の神器十種神宝の御守を授け給いて、太陽系大宇宙展開の真理を示し訓へ給う天地の太祖と崇め奉る天照大御神を主祭神として奉斎してあり、併せて神器十種神宝が奉安してあります。
広大無辺なる御神霊は、万古の昔より今猶新しき生命の本源として、差昇な朝日の如く常に顕般の三千世界を照覧されています。
当神社発祥の起源は、平安初期と伝えられ、中古京洛内外圏にも明記される等浮秘修法の縁起も数多く、慈母の神様となつかしまれ天地の祖神と崇め奉る御神徳は「光は東方より」世界的なる格言の如く、大宇宙の循環の中にありて無限の恵みを御神器を通して示し給い伝承して輝いているのであります。
心のふるさとでもある神宝とは、悟りの鏡、理の爾玉、愛の力なり。
神宝の御守によりて国土を拓き経営された神々様の故事等、神代に於ける御事蹟も多く、歴代の天皇が神宝大祈祷の祭義を執行されるなど、貴賎の崇敬誠に篤く、御神勅、御頌徳の歌文献数知れず今日に及んでおります。
其の間に於いて秘宝とされる等の事あり、一般の拝時ができなく成っていましたが、慈しみ深き天照大御神の御神意を奉戴し、昭和二十余年より遍く世界に十種神宝の御守を顕し、御神訓を詳しく御伝え申上ぐると共に社頭に於いても篤志の希望の方に御守を神秘祈祷奉修の上、御授け致しております。
拍手
明治天皇御製
神代よりうけし宝を守にて 治め来にけり日の本の國
万葉集古歌
眞十鏡見ませ吾が背子我が形見
持たらん時に会はすあらめや
御由緒略記に書いてある十種神宝とは、神道古典の一つとされる『先代旧事本記』に書き記されている「天璽瑞宝十種」のことで、物部氏の祖神「饒速日命」が天界で授かった10個の宝物のことです。
『先代旧事本記』巻第5天孫本記によると、饒速日命が地上世界に降臨しようとしたときに、天神の御祖から天神の御子のしるしとして十種神宝を授かったとされています。
なお、十種神宝は『記紀(古事記と日本書記の総称)』や『古語拾遺』にも記載があり、饒速日命が神武天皇に献上した後に三種の神器となったそうです。
これら神器は御由緒略記に“大宇宙の循環の中にありて無限の恵みを御神器を通して示し給い伝承して輝いている”とあるように、国家の盛衰をも左右できるほどの強力な霊力を秘めているのです。
十種神宝
- 沖津鏡(おきつかがみ)
- 辺津鏡(へつかがみ)
- 八握剣(やつかのつるぎ)
- 生玉(いくたま)
- 死返玉(まかるかへしのたま)
- 足玉(たるたま)
- 道返玉(ちかへしのたま)
- 蛇比礼(おろちのひれ)
- 蜂比礼(はちのひれ)
- 品物之比礼(くさぐさのもののひれ)
本殿・拝殿
本殿には、天照大御神と稲荷大明神が祀られており、十種神宝が奉安してあります。また手前には天照大御神の眷属とされる「地竜」と「天竜」が鎮座しています。
龍神の主な働きは、神様の使いとして地球を守る役割があり、大きく分けると地球のレイライン(龍脈)を活性させる「地竜」と、天を守るとともに人々をサポートする「天龍」の二つがあります。
天龍は色によってサポートする能力に違いがあり、願い事によってその人がやりたいことに見合った色の龍がついてくれます。
左が「地竜」、右が「天竜」で、あらゆる願いをかなえる力がある「如意宝珠」を持っています。
拝殿の天井近くの梁には「六根清浄」と書かれた扁額が掛かっています。六根とは人間の感覚である視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚の五感に心を加えたもので、けがれにふれたときに神徳をもって清浄に保つという意味を持った祈願詞(神様に奏上する言葉。祝詞のことを指す)です。
“衣の神さま”龍頭社(りゅうずしゃ)
本殿左手には稲荷山の地主神とされる龍頭大神を祀る龍頭社が鎮座しています。「龍頭」は西陣織の織機で横糸をかける金具の名前でもあるため“衣の神さま”とも伝わります。
お社の横には龍頭さん(水の中から頭と手を出している龍の像)があります。頭をやさしくなでて祈ると願いが叶うそうです。
“竹取物語発祥の地”磐境(いわさか)
境内の最も奥に建つ竹の鳥居のお社は、竹取物語の発祥地であり、「たけのこ石」と呼ばれるたけのこの形をした降臨神石が祀られています。
竹取物語の発祥地であるだけに、この辺りには竹藪が多くあります。伏見神寶神社を出て左の山の方向が「竹乃下道」といって美しい竹藪を見ることができます。関連記事➡伏見神宝神社から一ノ峰に向かう「竹乃下道」
磐境のお社から稲荷山に向かって、一直線上に「間ノ峰(伊勢大神を祀る荷田社神蹟)」と「一ノ峰(末広大神を祀る上之社神蹟)」があることから、稲荷山で最も神様の気が集まる場所でもあるとされています。そのため、令和元年に扁額「稲荷山」が掲げられた朱塗りの鳥居が建てられました。
底津岩戸社(そこついわとしゃ)
磐境の南側の階段を降りたところの北側には、底津岩戸社が鎮座しています。菊花紋章のあるお社は『天岩戸』を模したような洞窟になっていて、その中には大宮能女命を祀っています。
大宮能女命は伏見稲荷大社の本殿に祀られている大宮能売大神と同一の神さまで、商売と芸事にご利益があると伝わることから経営者や芸能関係の方たちが信仰しています。
八大龍王大神・権太夫大神・白龍大神
底津岩戸社の階段を挟んで北側には八大龍王大神・権太夫大神・白龍大神を祀る塚があります。
八大龍王大神は「法華経」に仏法を守護する八つの龍神(難陀龍王・跋難陀龍王・娑伽羅龍王・和修吉龍王・徳叉迦龍王・阿那婆達多龍王・摩那斯龍王・優鉢羅龍王)の総称で、宇宙創造、万物育成、大願成就、諸霊救済の御神格を具し給う大神とされています。
権太夫大神は稲荷山御神蹟五社の一つとして「荒神峰(田中社神蹟)」に祀られています。権太夫大神は「大国主神=大己貴神」の別名で、俗に大黒様とも呼ばれています。
白龍大神は、龍神界を統べる豊玉比売命の眷族として働く神で、天地を自由に動き回って「流れ」を起こし、気象や海流の流れを司っている神様だといわれています。また白龍は、龍の中でも空を飛ぶ速度がとても速いといわれており、そのことから早くに願望成就、運気改善、吉運、幸運を呼び寄せるともいわれています。
布留社(ふるしゃ)
本殿右手奥にあるお社が布留社で、白菊大神(天太玉命)、白髭大神(猿田彦命)、白竜大神が祀られています。かつて京都五条通にあり、道路拡張の際にこの地に遷宮されたそうです。
祠の前には井戸があり、大和布留社(奈良県天理市の石上神宮)と地下水脈でつながっているそうで、伝説では白い布がこの地に流れ着いてきたことから“布が留る”という意味で布留社となったのだそうです。
ただ、白い布が流れ着いたのが遷宮以前の五条通に祀られていた布留社だったのか、現在の場所だったのかは定かではありません。
布留社の手前には「おもかる石」があります。
おもかる石の占い方
- 一礼
- 願いをかけて軽くなって下さいと願い像(龍を模った石)を持つ
- 結果、軽く感じたらその願いは叶う
伏見神宝神社への行き方
伏見神寶神社への行き方は、本殿の裏側の階段を上がったところの奥宮から、千本鳥居を通り抜けて奥社奉拝所に向かいます。
奥社奉拝所からさらに稲荷山三ケ峰に向かう鳥居のある山道を少し上ると、右手に「神宝神社」の標識が立っています。ここからは山道(地道)になりますが、5分程度歩くと左手に伏見神寶神社の鳥居と狛犬が見えてきます。
位置的には奥社奉拝所の社殿の背後、稲荷山三ケ峰の方角になります。
まとめ
今回は稲荷山の中でも、「龍神」と「かぐや姫」を祀り天上界とつながりを感じる「伏見神寶神社」を紹介しました。
「伏見神寶神社」は観光ルートから外れた場所にあり、比較的に静かで竹藪など自然に囲まれています。また稲荷山に向かって、一直線上に「間ノ峰(伊勢大神を祀る荷田社神蹟)」と「一ノ峰(末広大神を祀る上之社神蹟)」があることから稲荷山で最も神様の気が集まる場所でもあるとされています。