京都の平安神宮は、1895年(明治28年)4月に遷都1100年を記念して作られたもので、平安京の大内裏(だいだいり)の一部を約8分の5のスケールで再現された神宮です。
計画当時は、実際に大内裏の正庁である朝堂院があった千本丸太町に朱雀門を作るように計画されていましたが用地買収に失敗し岡崎に作られました。
計画地であった千本丸太町には、源氏物語ゆかりの地として平安京朝堂院大極殿跡(へいあんきょうちょうどういんだいごくでんあと)の石碑が建っています。
このような経緯で作られた神宮ですから、神話など特別な言い伝えはないのですが、大内裏の再現は平安京を知る上では重要な文化財になっています。ご祭神は、平安遷都を行った桓武天皇と平安京で過ごした最後の天皇である考明天皇です。
日本最大級の大鳥居
神宮道に建つ平安神宮大鳥居は、1928年(昭和3年)に建設計画を開始し、京都府立資料館の旧館を設計した武田五一が工事顧問を務めた。
1929年(昭和4年)に完成した大鳥居は高さ24m、幅18mの日本屈指の大きさで鉄筋コンクリートと鉄骨、モルタルで作られている近代的な構造物です。幾度となく塗装の塗り替え工事が行われ2002年(平成14年)に国の登録有形文化財に登録されました。
実はこの大鳥居、柱の中にメンテナンス用の階段が設置してあるのです。入り口はRCで作られた柱脚分にあり出口は鳥居の上。柱の真上(笠木の上部)に出っ張りが出口です。
鳥居の柱脚とメンテナンス用の入り口↓↓
それにしても、間近で見上げると迫力があります。
平安神宮境内
境内に入ると、大内裏の一部を約8分の5に縮小しているとは思えない広さに驚かされます。そして、仮設の販売所などを除くと完全なシンメトリーで、居心地が最高に良い。
境内入り口は朝堂院の応天門を模した應天門(おうてもん)で、その左右の殿舎は朝集堂(ちょうしゅうどう)を再現しています。
境内北側の外拝殿は朝堂院の正殿である大極殿(だいごくでん)を模しており、左右には蒼龍楼(そうりゅうろう)と白虎楼(びゃっころう)が付属しています。
平安京は四神相応の地とされており、平安神宮も四神信仰とゆかりが深く、年間の祭事である4月15日の例祭と10月22日の時代祭には境内に四神旗が掲げられます。四神とは、中国の神話で天の四方を司る霊獣で東の青龍(蒼龍ともいう)、南の朱雀、西の白虎、北の玄武とされています。
東側の蒼龍楼と西側の白虎楼は、平安朝堂院の様式を模して、二重五棟の入母屋(いりもや)作りに碧瓦本葺(みどりかわらほんぶき)が施されている。まったく同じ形状の建物が左右に建っています。
西の白虎楼
東の蒼龍楼
應天門をくぐり境内に入ってすぐの西側に白虎、東側に蒼龍をモチーフにした手水鉢(今は使われていないようです)があります。
境内は中央を龍尾壇(りゅうびだん)で仕切り段差が付けられていて、大極殿と蒼龍楼・白虎楼は一段高い北側に位置し、南側の東面に建っているのが結婚式場の神楽殿(かぐらでん)、西面に建っているのが額殿(がくでん)で登録有形文化財です。これもまた同形状の建物が左右対称です。
平安神宮周辺
毎月10日は平安神宮前の岡崎公園では「平安蚤の市」が開催されています。100店舗以上の骨董店、古道具店、古着店などが出店し、世界中の古いものを販売しています。
詳しくは↓↓
その他にも、昨年リニューアルオープンした京セラ美術館や京都近代美術館、ロームシアター、みやこめっせなど周辺には見学できるところが沢山あります。