「学問の神様」として有名な京都の北野天満宮は、受験シーズンである年末年始は多くの受験生が合格を祈願しにやってきます。そして、1月2日~4日は書道の上達を願う「書初め」があり、奉納された書初めの展示公開が1月下旬。1月下旬といえば25日の「初天神」で参拝者が大変多くなります。
人混みを避けて参拝するなら今がチャンス、それも成人式が行われる「成人の日」の午前中は比較的人が少ないのが例年なので、初詣に行ってきました。
今回の記事は、初詣に伴い知りえた「天神さんの不思議」を紹介します。
ジャンボ干支絵巻と花手水
今年の「ジャンボ干支絵馬」は京都画壇三輪家四代を継ぐ日本画家の三輪純子氏の作品で、八方にらみのトラ。優しく力強いトラの凛々しい姿を描いたこの作品は「厄除け・魔よけ」の願いが込められています。
「ジャンボ干支絵馬」が設置してある楼門をくぐって右側には、定期的に変わる草花で装飾された手水舎があります。天神さんらしく、中央に臥牛(がきゅう)が置かれ、年始を祝う「松竹梅」で装飾されていました。
星欠けの三光門
本殿前の中門は、1607年に豊臣秀吉が建立したと伝えられ、重要文化財に指定されている「三光門」があります。
三光門の三光とは、星辰崇拝(せいしんすうはい)で特別なものと考えて尊びあがめる「太陽・月・星」をさし、門に掛けられた南北の梁の中央(内部)に太陽と月の彫刻があります。門には星の彫刻がない事から「星欠け」といわれているのですが平安時代の平安京の大内裏(だいだいり)から三光門を見る門と北極星が重なる位置関係にあるのです。
いつも真北にある「北極星」を彫刻にすることなく、自然の天体を背景に調和させて完成された三光門は、世界の古代遺跡に共通するものを感じます。
本殿の立ち牛
天神さんといえば、神様のお使いの臥牛(がきゅう)が境内に数多く見られます。
これは菅原道真公が丑年生まれであったことと、大宰府でご生涯を閉じられた際、道真公の遺骸を運んでいる途中で車を引く牛が座り込んで動かなくなって、やむなく付近の安楽寺に埋葬したという伝説から神牛は臥牛の姿で表せているのですが、本殿中央の欄間に刻まれた神牛だけが立った姿をしています。
裏の社|御后三柱(ごこうのみはしら)
本殿の背面にある「御后三柱(ごこうのみはしら)」には、道真公のご先祖様の天穂日命(あめのほのみこと)、おじい様の菅原清公卿(すがはらのきよきみきょう)、お父様の菅原是善卿(すがはらのこれよしきょう)の三柱の神さまが祀られているのですが、何故か本殿と背中合わせの北向きになっているのです。
参拝に訪れるほとんど人たちは北向きに祀られた「御后三柱」があることに気づきません。
「学徳成就」が神得とされているので、受験を控えているみなさまは是非お参りしてみて下さい。
大黒天の燈篭|大黒様の口に小石が乗るとお金に困らない
三光門の南東に北を向いて立っている石燈篭の中ほどに、台座に大黒様の像が刻まれている燈篭があります。この石燈篭は江戸時代に質屋さんの組合によって奉献されたもので、大黒様の口に小石をのせて落ちなければ、その小石を財布に入れて祈るとお金に困らないといわれています。
運試しに小石乗せに挑戦
大黒様の口をよく見てみると、くぼみが二つあり、どちらも下向きで引っ掛かる所は見当たりません。
摩擦で落ちないようにと表面にザラツキのある小さ目の石を探してのせてみると「一回で見事成功!」です。
お金に困ることが無いようにと大切に財布にしましました。縁起が良いですね!
金運だけでなく、落ちない事から「合格」という意味があるそうなので「合格祈願」にもなるそうです。
ちなみに、乗せるのは本当に難しいので、「合格」を願うのなら成功するまで挑戦してくださいね!落ちたままだとモチベーションが下がりますよね。
聖地に残る自主社
京都の天神さん(北野天満宮)は全国に1万社以上存在する天満社の総本社で、ご祭神は「学問の神様」といわれる菅原道真公。平安時代の947年に建立された北野天満宮は無念の死を遂げた道真公の「怨霊」を鎮めるためだったともいわれています。そして、この地(北野)は北野天満宮建立以前から「聖地」であり天地すべての神を祀った「自主社」が鎮座していたという歴史的な理由により本殿は自主社の正面を避けて建てられています。
鬼の腕を切り落とした「髭切」
宝物殿では刀剣の展示を準備している様でした。
北野天満宮が所有する重要文化財の日本刀「鬼切丸(髭切)」は、一条戻橋の橋姫(橋に潜む鬼女)の腕を切り落としたとされるもので、夜には獅子が鳴くように吠えたという伝説が残っています。
平家物語に登場する一条戻橋の「橋姫伝説」は晴明神社に行けば詳しくわかります。
ここにもあった「さざれ石」
天神さんの駐車場の一角で、国歌「君が代」に登場する「さざれ石」を発見。下鴨神社のさざれ石は知っていますが、ここで見たのは初めてです。
さいごに
初詣で見たのもで、知っているエピソードをまとめてみました。
まだまだ知らない歴史や不思議なエピソードがある北野天満宮は、訪れるたびに新しい発見があります。
今日のところは、本殿・御后三・自主社をお参りして、干支の一刀彫を頂いてきました。邪鬼が入って来ないように玄関に置いて「今年も良い年になりますように」とお願いしました。
梅のつぼみも少しずつ膨らんできています。次は梅の開花状況などを配信します。