塩昆布
老舗昆布店の先代に教えて頂いた塩昆布の炊き方
京都で昆布といえば「ここ」というくらいに有名な老舗の昆布店。40年ほど前、当時の店主に塩昆布の炊き方を教わりました。
この店主は、いつも着物を着て本店の店番をしていらっしゃいました。この時すでに70歳は超えているような感じで、たぶん引退されていたと思いますが、その姿は上品な老舗の店主でした。
この昆布店に通っている間に店主と仲良くなり昆布のことを色々と教わりました。なかでも店主拘りの昆布が店の奥にある桐で出来た引き出しに仕舞ってある年代物の昆布は忘れられません。
店主曰く、昆布も状態よく保存しておけば数十年もつそうで、良い昆布(店主が見立てた高級品)を長年寝かすと旨味が増すそうです。
店主は食に拘っていそうな客を見つけると、自慢をするのが楽しみようで「これが5年物、これが10年物・・・・・」と嬉しそうに説明する店主。私が「これ、食べてみたい」と言うと、「これは売れまへんにゃ。見るだけにしておくれやす」といって大事そうにしていたのが印象に残っています。
料理(塩昆布の炊き方)と話しが逸れましたが、紹介する塩昆布の炊き方はこの店主直伝です。
材料
店には、100gが千円、二千円と高価な昆布が並んでいるのですが、店主曰く「素人が炊くのに、こんな高い昆布はいらん。それに、家で食べるのなら昆布の形に拘る事ないやろ。」といって勧められた昆布は、カットしていない大きな昆布。
「だし昆布?」と思いましたが、店主は「だし昆布でも、塩昆布用として売っているより旨い昆布がある。それにカットするのに手間がかかっているので値が高い。これにしときなはれ」と言われるがまま。奇麗にカットしてある昆布の半値以下。確かに安い。
またまた、話しが逸れました。では、本題に入ります。
老舗の店主から教わった黄金比
使う材料は、「昆布」「お酒」「こいくち醤油」だけ。
お酒(日本酒):3合
こいくち醤油:4合
※昆布の量が変わる場合でも比率を同じに調整する
- 昆布は自分の好きな大きさに切ればよい。
- お酒は飲めるもの。料理酒はあかん。本当は純米酒がよい。
- 醤油はそれなりに拘ったほうが良い。自分が美味いと思う醤油。
作り方
- 深めの鍋に「昆布」「お酒」「こいくち醤油」を入れる。昆布全体が浸かる程度。
- そのまま一晩、漬け置きする。
- 弱火で1時間程度炊く。(昆布が好みの硬さになる程度)
- 好みで「シイタケ」「ジャコ」「山椒」などを加えてもよい。
- なべ底に残った汁を容器に入れて取り置きする。(重要ポイント)
昆布全体が浸かるように
一晩、寝かす
1時間程度炊き込む
なべ底の汁は容器に取り置きする
- 漬け込む時間を長くして、火にかける時間は短いほうが良い。
- 汁が無くなるまで炊く人がいるが、これはあかん。いくら長くても1時間以上炊いたらあかん。
- 具材を一緒に炊くのは良くないが、家庭料理ならまぁまぁ。
- 残った汁は大事に取っておいて、次に炊くときに加える。繰り返していると、どんどんツヤが出てくる。
残った汁
ペットボトルに入れて冷凍保存
以上が老舗の店主から教わった、昔からの塩昆布の炊き方の基本だそうです。近年、いろんな味付けの塩昆布が開発されていますが、店主曰く「これが、何も入っていない本当の塩昆布で一番うまい!」
店主は、その当時でも自分が食べる塩昆布は自分で炊いているようで、保存という概念はないようでした。残り汁も数十年使っているようで「内緒やけどな。店で売っている塩昆布より旨いで!売りたいけど、そんな沢山つくれへんにゃ」とチョット残念そうでした。
炊き込むときの重要ポイント
重要なポイントが抜けていましたので追記します。(2021年12月24日)
- 沸騰させると昆布自体の旨味が流れ出てしまい、出し殻のようになる。
- 醤油は沸騰させると、焦げ臭くなる。
沸騰させないように炊き込み、アクを取り除く
完成(しいたけと、ちりめん入り)