今回のテーマは低温調理器を使った「蒸し芋」で調理の温度と時間を試した記事になります。
調理に使ったさつまいもは「なると金時」、徳島産「さつまいも(品種不明)」、熊本産「紅はるか」の3種類で、温度は80℃と90℃で実験してみました。
80℃で調理した結果
調理温度80℃で2時間もあれば十分に中まで熱が入るだろうと思っていたのですが、芋が太かったためか、竹串を刺してみても芯の部分がまだ硬かったため、1時間プラスして合計3時間で蒸上げました。(芋の太さによって4時間近くかかる場合もあります)
出来上がりの食感と味は以下の通りで、レンジやトースターで蒸し上げるよりも甘味があってホクホクの仕上がりです。
- なると金時:ホクホクした食感と甘味のバランスがよい
- 徳島産「さつまいも」(品種不明):栗のようなホクホクとした食感で甘さは控えめ
- 熊本産「紅はるか」:ホクホクというよりねっとりとした食感で「なると金時」より甘味がある
家族で試食してみましたが、それぞれ好みが違うようで、順位を決めるのが難しいといったところです。強いて言えば、食感と甘味のバランスが取れた「なると金時」は誰もが美味しく感じられるようです。
一度に食べきれない場合は、冷蔵庫に保存しておいて食べる際にレンジやオーブンで温めましょう。
保存期間は、冷蔵で3日程度、冷凍で2週間程度は保存ができます。
90℃で調理した結果
調理温度75℃で3時間かかったことを参考に、調理温度90℃で2時間30分に設定して調理してみました。
調理温度90℃の結果
- なると金時:75℃で3時間の方が甘味があり、90℃ではホクホク感が損なわれる
- 徳島産「さつまいも」(品種不明):栗のようなホクホクとした食感で甘さは控えめ
- 熊本産「紅はるか」:ホクホクというよりねっとりとした食感で「なると金時」より甘味がある
「なると金時」と徳島産「さつまいも」は少し柔らかくなる程度でしたが、「紅はるか」は柔らかくなりすぎて、手で持つだけで皮がむけて滑り落ちてしまいます。
仕方なくスプーンですくって食べてみると、その味はまるで「芋きんとん」でした。
失敗から生まれた「芋きんとん」
蒸しすぎて失敗したと思ったのですが、「芋きんとん」にすると和菓子のようになりました。みりんや砂糖などの調味料を使わない、芋の甘味だけですから、すごく優しい味です。
蒸しすぎてトロトロになった「紅はるか」ですが、中心部分までトロトロでなかったため、スプーンで潰してペースト状にすると、丁度良い硬さの「芋きんとん」になります。
これを一口サイズの大きさにして、ラップで包むと和菓子のようになります。冷蔵庫で30分程度冷やすと弾力のあるお茶菓子の出来上がりです。
さつまいもの調理温度
さつまいもを甘く調理する温度には、科学的根拠があります。それは、β-アミラーゼという酵素の働きによるものです。
難しそうに聞こえますが「β-アミラーゼ」は唾液中にも含まれる消化酵素で、かめばかむほど甘くなるのは、この酵素がでんぷんを糖に分解する作用があるからです。
さつまいもを加熱するとβ-アミラーゼの活性が高まり、それがでんぷんをマルトース(麦芽糖)に分解してくれます。そのため、生のさつまいもを加熱すると甘味が強くなります。
β-アミラーゼは60〜65℃が最もよく働く温度で、75℃を超えると働かなくなります。
また、内部の温度がゆっくり上昇するようにさつまいもを加熱すると、β-アミラーゼがよく働く温度に長く保たれるため、より甘いさつまいもになります。
これらの科学的根拠に基づくと、さつまいもの中心部までを60~75℃に長時間保つことが甘味を引き出す調理法であり、低温調理との相性が良いといえます。
それに対して、電子レンジのようなあっという間に内部温度が上昇してしまう調理方法ではβ-アミラーゼがすぐに働かなくなるため、あまり甘くならないことが分かります。
さつまいもの選び方
さつまいもは販売している八百屋やスーパーによって、品質にばらつきがあるようで、質の悪いさつまいもを調理すると、甘くなるどころか苦くなるものや、中身が黒ずんでくるものもあります。
幾度となく失敗を繰り返したので、さつまいもの選び方を簡単に説明します。
さつまいもの選び方
- 皮の色が均一に鮮やかなもの(ひげが硬いものや、表皮が部分的に黒く変色しているものはNG)
- 表面に凸凹・キズ・斑点がないもの
- 見た目がふっくらとしているもの(細長いものは成長不良で甘味がない場合がある)
- しっかりとした硬さのあるもの(部分的に柔らかいのはNG)
まとめ
今回は低温調理器を使った「蒸し芋」の実験の様子を紹介しました。
結論は、低温調理器は一定の温度を長時間維持できることから蒸し芋(さつまいも)の甘さを最大限に引き出すことができるので、とても相性が良いようで、以下のポイントを押さえておけば甘い蒸し芋が作れます。
- さつまいもの甘味を引き出す温度は60~75℃
- ゆっくりと温度を上げて一定温度を維持するとより甘味が引き出せる
これ以外にも、さつまいもの選び方は重要ですので「質の良い」さつまいもを選ぶようにしましょう。
今回使用した低温調理器は、Amazonベストセラー1位の『Yorano』という製品です。詳細はこちらの記事で紹介していますので参考にしてください➡男の料理|Amazonで売れ筋ランキング1位の低温調理器とは?