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男の料理|京都流!鯛のあら白味噌仕立て

鯛1尾分のあらを使って「あら炊き」「白みその鯛汁」「松笠」を作りました。

鯛のあら炊き白味噌仕立て
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鯛のあらを西京味噌で仕上げた1品で、メインは「お頭」と「かま」です。

白味噌の鯛汁
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あら炊きの汁を網で濾した「味噌汁(白味噌)」で、真鯛の刺身を軽く煮た1品で、花ガツオと青ネギを少量加えてみました。

鯛の松笠
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鯛の皮を湯引きしたもので、コリコリとした食感と染み出る甘味が特徴です。(※写真は、皮目に鯛の身が残っていた部分です)

皮を引かない鯛の刺身を、湯引きして冷水で締めたものは「松笠造り」といわれ絶品です。鯛の身が付いていなく、皮だけのものは「すまし汁」や「煮こごり」の具材によく使われますが、ワサビ醤油をつけて炊き立てのご飯に乗せても美味しく頂けます。

鯛のあらには、吸収力に優れるフィッシュコラーゲンをはじめ、血流が良くなるDHA、カルシウム、ビタミンA、ビタミンB群など美容に良いとされる栄養が豊富に含まれています。

安くて美容効果がある「鯛のあら」、毎日食べると間違いなく美肌になりますが、美味しく仕上げるにはウロコや血合いなどの下処理にひと手間掛かります。

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「鯛あら」の下処理

鯛のあらの「頭(顔の部分)」や「ヒレの部分」には、簡単に取れないウロコが付いています。そして内臓部分や中骨には、「血合い」と呼ばれる内臓の残りや血液が残っています。(注:マグロやカツオの赤黒い色をした筋肉も「血合い」と呼び栄養価は高い)

ウロコは食感が悪く、血合いは臭みやエグミの原因になるので、出来る限り取り除くことが美味しく仕上げるポイントになります。

【鯛のあら】sea-bream-ara

水洗い|竹串と竹ササラで血合いを取り除く

ボールに水を張り、水洗いしながら「ウロコ金」「金タワシ」で擦って皮目の細かいウロコを取っていきます。頭部の内側と腹の部分には、血合いが残っているので、「竹ササラ」「竹串」を使って掃除をします。

【頭部内部の血合いを掃除】

掃除前(全体に赤い内臓と血液がある)
before-washing-head

掃除後
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【内臓部分の血合いを掃除】

掃除前
Chiai

掃除後
chiai-cleaning

これ以外にも、太い中骨の上下には、神経と血液が通る穴(上部が神経で下部が血液)があります。血液が残っていると生臭くなるので、竹串で突きながら流水で血液を取り除きます。

ここまで出来たら、キッチンペーパーで水気を完全に拭きとってから塩を振り、10~15分程度おきます。

after-washing-head

sprinkle-salt-fish-meat

salted-fish-skin

 

魚に塩をふる効果

  • 塩には素材の旨味や甘味を引き出す効果がある
  • 浸透圧により余分な水分が抜けるため、旨味の濃度が高くなると同時に腐敗菌が増殖するための水分まで奪いとるので保存性が高まる
  • 水分と一緒に臭みが抜ける

塩ふりには以上のような効果がありますが、今回の場合は臭みを抜くために塩をふります。塩をふってから10分程度すると水分と一緒に臭みも抜けていきます。

湯引き|熱湯で完全に臭みをとる

丁寧に水洗いしても臭みの元となる「脂・血・ぬめり」などは完全に取れません。そこで用いられるのが熱湯を使って、臭みの元を完全に落とす下処理の方法が湯引き(霜降り)です。

湯引きには熱湯を流しかける方法と、熱湯に浸ける方法があります。今回の場合は、皮目で作る「松笠」は熱湯を流しかけてすぐさま冷水に浸け、身の部分のあらは熱湯に浸けての調理方法になります。

【あら身の熱湯処理】

鍋にお湯を沸かし、「鯛の頭」と「かま」の部分を熱湯に浸けて、表面が白くなったら取り出します。すぐさま水に浸けて、浮だっているウロコや臭みの元になる「血やぬめり」を取り除きます。

骨身の部分は汚れが少ないので、熱湯にサッと潜らせる程度で、細かいウロコなどは取れます。

熱湯に浸けて表面が白くなったら取り出す
boiling-water-treatment

水に浸けて手で触れる温度にする
immerse-in-water

手で触れる温度になったら、形を崩さないように注意して、指でウロコや血合いなどの余分なものを取り除きます。(指だけで簡単に取り除くことができます)

【下処理の完了】

頭とかまの部分
preparation-completed

中骨の部分
preparation-complete-meat-with-bone

鯛の皮を松笠に仕上げる

「あら身」の下処理は汚れを落とすことが目的でしたが、「松笠」は瞬時の加熱でコラーゲンを収縮させることによりコリコリとした食感を引き出すことにあります。魚のコラーゲンは60℃位で収縮を起こし、そのまま加熱し続けると分解してしまうので、短時間の加熱がベストです。

まして、「松笠造り」のように刺身として味わうのなら、皮だけに熱を加える必要があるため、お湯のかけ方に工夫がいります。今回は身の付いていない皮だけなので、そこまで神経質になる必要はありません。

【鯛皮の湯引き】

ボールに水と氷を入れて冷水を作っておきます。ザルに「鯛の皮」を入れ、沸騰したお湯を流しかけます。皮が縮れてきたら、作っておいた冷水に入れます。すると皮の表面が松のようにデコボコとした形状になり、コリコリとした食感が生まれます。

湯引き前の鯛の皮
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湯引き後の鯛の皮
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写真では分かりにくいのですが、湯引き後は皮に張りが出てプリプリしています。これを直ぐに冷水に浸けるとプリプリがコリコリになります。この食感を例えるなら、「テッサ(フグの刺身)」です。

今回は、一口大に切りましたが細切りにすると「てっぴ(フグの皮)」と変わらない食感で酒の肴に打って付けです。

matukasa

鯛のアラ炊き

下処理ができたので「あら炊き(白味噌仕立て)」と「白みその鯛汁」を作っていきます。鯛汁はあら炊きで余った出汁を使います。

☆材料(あら炊き)

  • 鯛のあら:1匹分(下処理済み)
  • 昆布だし:鯛のあら「ひたひた」程度(水1リットルに対して昆布10gが目安)
  • 酒:60cc
  • 本みりん:60cc
  • ザラメ:大さじ2(砂糖でもよい)
  • 塩:少々
  • 濃口醤油:大さじ2
  • 白味噌(西京味噌):大さじ4~5(好みで量を調節)

☆材料(鯛汁)

  • 鯛の刺身:8~10切れ(好みで量を調)
  • 青ネギ:薬味なのでなくても大丈夫
  • 花かつお:適量

あら炊きの作り方

1.
あら炊きに使用する鍋に、あらが「ひたひた」になる程度の水を入れ、水1リットルに対して10g程度の昆布を30分ほど浸けておきます。(あらの下処理の間に準備しておくと効率が良くなります)

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2.
下処理済みの「鯛のあら」を昆布だしの中に入れて、中火と弱火くらいの火加減にします。沸騰直前に昆布を取りだし、酒・みりん・ザラメ(砂糖)を加えます。

アクを取りながら、アルコールが飛ぶまで軽く沸騰させ、弱火にしてから醤油を加えます。

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  • 鍋に「鯛のあら」を入れる順番は、「中骨の部分」を鍋底に入れ、「頭の部分」を上にすると形が崩れにくくなります。
  • 昆布は沸騰直前に取り出したいので、「あら」を入れる前に取り出しやすいところに配置することで、「お頭」の形を崩さずに取り出すことができます。

3.
「鍋蓋」もしくは「落し蓋」を使い、味のしみ込み具合を見ながらコトコトと、弱火のまま煮込みます。

  • 味噌仕立て(白味噌)にする場合は、「あら」に程よく火が通る程度の煮込みにします(目安10~15分程度)
  • 醤油仕立て(砂糖と醤油で仕上げる)の場合は、味がしっかりとしみ込むまで煮込みます(落し蓋を使い30分程度煮込むと煮汁が濃くなり、しっかりと味が入ります)

4.
程よく煮込めたら火を止め、煮汁をボールに取り、白味噌を溶いて鍋に戻し入れます。この段階で味を見ながら味噌の量を調整します。

5.
火を止めて白味噌を溶き入れている間に温度が下がるので、沸騰させないように弱火にして味噌味を「あら」に染み込ませます。

味噌が濃い場合は、軽く温めるだけでもしっかりとした味に仕上がります。

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味噌の風味は発酵した際に作り出されるアミノ酸やビタミンが元となっています。高温で加熱すると旨味成分と栄養素が分解して、香りと風味が損なわれます。

「あら炊き」に限らず、味噌を使った料理は沸騰させないのが基本です。

完成した「京風 鯛のあら炊き白みそ仕立て」を京都の伝統を誇る「たち吉」の清水焼の器に盛り付けました。

京都「たち吉」の器
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京風 鯛のあら炊き白みそ仕立て
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鯛汁の作り方

1.
「鯛のあら炊き」で残った出汁を、「茶こし」など目の細かい網で濾し、不純物のない白味噌汁を作ります。

2.
濾し終わった白味噌汁を沸騰させない程度に温め、鯛の刺身を入れ程よく火が通れば完成です。あとは、お好みで青ネギや花かつおを薬味に添えれば見た目も整います。

小骨などが完全に取り除かれているので、小さなお子様からお年寄まで安心して食べて頂けます。

完成した「白みその鯛汁」を京都清水焼の陶器に盛り付けました。

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鯛汁の応用

料亭では、このような鯛汁を作るためだけに、あらを炊いて出汁を取ることがあるほどの価値があるものなので、捨てるのは非常にもったいないことです。

【残った白味噌汁で作れる料理】

  • お惣菜:子芋、大根、にんじんを炊き込む
  • 京風お雑煮:小餅を炊き込む、または焼餅を入れる
  • 鍋物:薄切りの鯛を使った、鯛しゃぶ