極楽浄土は存在しない!仏教の教えは生きている人のためにある

釈迦が説いた原始仏教では、「死後の世界は存在しない、仏教は生きている人のためにある」というのが本来の教えという説があるのは御存じだろうか。

これによると、死んだ人間はただの物質であり、極楽浄土や地獄に行くことはない、ましてや輪廻転生などというものは存在しないとしています。

仏教学の学者間では、「釈迦の教えは、あの世があることが前提になっているのか、ないことが前提になっているのか」といった議論が続いていますが、原語で書かれた釈迦の教えを翻訳した際に生じた見解の相違のように感じます。

Sankai Manreito Pagoda

私は、「死後の世界はない」と強く信じています。「魂」は人間が持つ「意識」であり、意識を作り出している「脳」が壊れた(死んだ)と同時にただの物質になると思っています。

こんなことを考えていると、お釈迦様が説いた教えとは、いったいどのようなことなのかと気になり、色々と調べてみました。

お釈迦様の教え|この世の真理【四法印】
病気や死を恐れながら、人間関係に悩まされる日々。根本的な解決策もなく「なんとも思い通りにならない人生なのだろう」と悩んでいる間に年を取る。老いてくると、ただでさえ思い通りにならない人生が、体の老化とともに益々「思い通り」にならなくなっていく...
お釈迦様の教え|苦しみを克服する方法【四諦八正道】
「四諦八正道」とは、「さとり」へと導く四つの真理である「四聖諦」という教えと、 これらを克服する修行として「八正道」と呼ばれる八つの正しい道が挙げられています。

これらの記事は、様々な文献を基に基本的な概念をまとめたものですが、日本語に翻訳されたものを資料としているので本来の意味と違うかもしれませんが、人生をより良いものにしていくための考え方について、参考になることが沢山あります。

悩みを抱えている人には、是非読んで欲しい「お釈迦様の教え」ですが、疑問を感じる所もあります。鵜呑みにするのではなく、自分の考えをもったうえで良いところだけを取り入れれば、悩みを解決する糸口になると思います。

後述しますが、仏教を初め宗教の教えと宗教法人とは、まったく違うものだと認識して欲しいと願っています。

宗教の教えは、人生に悩んだ先人が、幸せに生きる方法を模索して作り上げたものなので、考え方の相違はあるものの、生きていくのに参考になる内容が沢山あります。

一方、宗教団体は税金を免除された法人(会社)のことで、営利会社である以上、必ず利権が絡みます。そして、社会貢献という理念を持ちながら運営している会社と、暴利を貪るカルト集団、その中間に位置する会社があることを認識してください。

あの世は私たちの心の中にある

あの世は存在しないとすると、「お墓」も「お寺」も必要がないということになります。しかし、愛する人を亡くした人からすると、供養をしてあげたいという気持ちがあるのが当然で、自分という命を繋いでくれた先祖に対する感謝の気持ちもあるはずです。

仏教徒でもなく「死後の世界はない」と信じている私でも、先祖代々の墓守をしていますし、自宅には仏壇もあります。そして、盆・正月・彼岸にはお寺参りに行き、仏壇には毎日のように線香を立てています。

「死後の世界はない」と信じているのにお参りする。一見、矛盾しているようですが、これは死者への供養ではなく、すべては自分自身の心の安らぎを求めているにすぎません。

子供の頃に飼っていた「ひよこ」が死んだときには、自宅の庭に埋葬して、蒲鉾板に「ひよこのお墓」と書いた墓標を立てた経験があります。これは、愛するものを亡くした悲しみと、一緒に遊んで楽しませてくれたという感謝の気持ちが起こした行動だったと思います。

一方で、同じニワトリである「鶏のから揚げ」や「鶏モモに肉のグリル」を美味しく頂きますが、そのような感情を抱いたことはありません。

食事の前に、手を合わせ「頂きます」という日本の習慣は、自分の命を繋ぐために死に至ったものに対する感謝の気持ちを告げる言葉ですが、悲しいという感情はありません。

これらの意味するところは、「命はたいせつなもの」という基本的な概念と、大切なものへの「愛情」が、私たちの行動を引き起こしていると考えられます。

このような「大切なもの」への感情は私たちの心の中にあるもので、亡くなったものからすると何の意味もありません。

要するに、あの世にあるとされている「極楽浄土」も「地獄」も生きている私たちの心の中にあるのです。

ビジネス化する宗教

いずれの宗教にも「聖典・教典・経典」などという、ものごとの教えを説いた教科書のようなものが存在します。その多くは、人々が安らかに幸せな人生を送れるようにと教えを説いたもので、時代とともに体系化し現在に至っています。

人間の持つ悩みは、今も昔も根本的には同じであり、悩める心の拠り所が神や仏の教えなのです。

教えを説いた文献は、書店に行けば売っていますし、図書館なら無料で読むこともできます。しかし多くの悩める人は自分で調べることをせずに、どこぞの宗教団体に入信してしまうのです。

本来の神や仏の教えと言うのは、遠い昔から悩める先人が実際に悩んだ末に書き残したもので、宗教とは無縁のものだと考えられます。

仏教の開祖で実在した仏陀(ブッダ)と言われているお釈迦様は、日本でいう武士階級の跡継ぎとして生まれましたが、「生きることは苦である」と考え「苦から逃れる方法はないのか」と答えを見出すために出家したとされています。

そして生涯をかけて「悩みの本質」と「解決策(さとり)」を考え抜いたのです。そうして残された記録は、人々の共感を得ることができたでしょうし、尊敬もされたことが想像できます。

実体験に基づいた、人々の悩みを解決する釈迦様の教えに人が集まるのは当然のことで、それらを後世に伝えている様々な宗教団体があります。

あってはならないが、未だに無くならないカルト集団は、宗教の教えを巧みに利用して信者を集めて暴利を貪っています。見方を変えれば、宗教の教えは人の心の奥深く浸透するほどの内容であるということです。

実は、お釈迦様の教えが日本に入ってきたのは昭和になってからで、それまで仏教とされてきたのは釈迦の教えではないという説もあります。

これによると、「位牌」は中国儒教仏の「木簡(もっかん)」と呼ばれるものが由来だという説が有力で、仏壇に至っては日本が起源であるとされています。

一般に「位牌」刻むことで知られている「戒名」も、身分差別のようなランク付けがあったりします。

そもそも戒名というのは、仏門にはいるとき(得度)に、親からもらった名前(俗名)を捨て、厳しい戒律を修行する仏様の弟子として付けてもらう名前なのです。

それがいつの間にか、死ねば仏様の弟子になると解釈されて、死ねば「戒名」を付けてもらう、そして功績ではなく値段によって階級が変化するようになってきているのです。

話しを「死後の世界」に戻すと、宗教団体にとってあの世に存在するとされている「地獄」と「極楽浄土」は経費を捻出するのに必要な考え方になります。

誰も見たことがない「あの世」の有無はさておき、人は「死後の世界」があると認識することで、「御先祖様の魂が・・・」「死後に行く先は・・・」と、何かと不安を感じることになります。

そして、悪質なカルト集団では、この不安な気持ちを利用して財産を巻き上げるのです。残念なことに一度心底信じてしまえば、いかなることがあっても抜け出せないのも事実として多くあります。

すべての宗教団体が「金儲け」に走っているとは言いませんが、神社やお寺には、立派な「社」や「お堂」など数億円規模の建築物が建っています。そして、これらを維持管理や人件費などを考えると相当なものになるのは容易に想像がつきます。

国宝や重要文化財と呼ばれるものなら、国や都道府県からの援助がありますが、公的な援助のないお寺などでは「お布施」が無ければ成り立たないことになるのです。

そう考えると宗教という名のもとに、人の心を操り「ぼろ儲け」する宗教法人もあれば、地域に密着して地道に墓守をしているお寺もあります。

ご存じない方も多いかもしれませんが、年に数回、お寺が倒産したというニュースをみることがあります。そして今後、檀家の減少などによりお寺の半数近くが無くなるとも言われています。

お寺が倒産して、不動産が第三者の手に渡れば、所有権のない墓地は無くなる可能性があります。これは先祖代々、守ってきた「お墓」が無くなることを意味しているので感慨深いものがあります。

まとめ

お釈迦様の教えが、死後の世界の有無のどちらが前提として説かれているかわ分かりませんが、誰も見たことがない「死後の世界」のことを考えるより、今の自分に向き合った方が幸せになれるのは確実です。

そして、仏教の教えも生きている私たちのためにあると考えて、悩み解決の参考になれば良いのではないでしょうか。

そして、信心せずとも「お参り」という行為は、忙しい日々を過ごしていても習慣にしていれば、思考や瞑想の時間として使えるメリットも生まれてきます。

如何なる宗教でも、維持管理に多額な経費を必要とする世の中です。深く関わると思わぬ出費が待っています。ましてカルト集団のような宗教法人に入信すると、悩み解決どころか普通の生活ですら奪われる可能性があります。

仏教の教えも、僧侶によって解釈がまちまちで、法人化したお寺の運営に懸命になり、仏教の教えそのものを理解していない人もいます。

学びの基本は「お金を掛けず」「人を頼らず」です。お金を掛けるのは、ある程度理解し、情報源の信憑性が判断できるようになってからでも遅くありません。

誰にでも理解できる程度の基本的な情報なら、危険な誘いがないインターネット検索や本などで十分です。

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