初詣で「おみくじ」を引いた結果はいかがでしたか?
「おみくじ」は吉凶を判断するためのものだけでなく、神様から頂く人生の課題とアドバイスでもあります。
それは「みさとし」といって、人に気づきを与えてくれるもので、吉凶の判断より大切なことが記されています。
この記事では、吉凶の判断だけではない「おみくじ」の本当の意味を紹介します。
稲荷山のおみくじ
伏見稲荷大社を初め、稲荷山には「おみくじ」を引けるところがたくさんあります。そのほとんどが有料ですが、無料で引けるところもあります。
神様のアドバイスを頂くのに必ずしも有料である必要がありません。それより、ここが良いと決めたところで引くのが、自然でご利益があるのではないでしょうか。
ということで、稲荷山でお気に入りの『二ノ峰(中社神蹟・青木大神)』と『眼力社』で無料のおみくじを引いてきましたので、その「みさとし」内容と、自分なりに解釈した意味についてお話します。
稲荷山「ニノ峰(中社神蹟・青木大神)」
稲荷山の山頂を『一ノ峰』といい、そこから西側に向かった『ニノ峰』には、青木大神が祀られている中社神蹟があります。
青木大神は、猿田彦大神ともいわれていて、気性は荒いけれども情の厚いお導きの神様だそうで、日本神話によれば、天照大神の孫にあたる瓊瓊杵尊の降臨の際、天の八衢にて尊を先導したとされています。
みさとし|導きの神様からのメッセージ
まずは、猿田彦大神に「良き道に導いていただけますように」とお参りしたあと、おみくじを引きました。
この場所の「おみくじ」は正面の階段を上がったところの右側に筒が置かれていて、引いた番号を掲示してある番号と照らし合わせるというものです。
引いたおみくじは【吉】で「みさとし」の内容は以下の通りでした。
【吉】このみさとしは、永い間の迷いから覚めて、人生を見直して正しく進む兆である。あとは心掛と努力次第で、万福招来疑いない。
みさとし:神様からのメッセージ
稲荷山「眼力社」
眼力社は、個人的にいくつかの不思議体験があるため、必ず参拝しておきたい神社です。
場所は、稲荷山『四つ辻』から右回りに『一ノ峰』に向かう参道にあります。
眼力社の御祭神は眼力大神で、その名が示すのとおり、目の病が良くなる、眼力を授かり「先見の明」を得られる、などのご神徳があります。
みさとし|眼力の神様からのメッセージ
ここでも、ローソクをお供えして「良き道に導いていただけますように」とお参りしたあと、おみくじを引きました。
引いたおみくじは【凶後吉】で「みさとし」の内容は以下の通りでした。
【凶後吉】永き各の苦しき事をおもへかしなになげくらんかりのやどりを
このみさとしは、今は煩悩や苦悩の時である。人生に対する考え方を改めて神思に感謝し、日々の生活に精神するならば必ず新しい運命をひらくことが出来る。
みさとし:神様からのメッセージ
二つの「みさとし」が啓示する意味
不思議なことに、中社神蹟と眼力社の2か所で引いたおみくじには、同じ意味に受け取れる「みさとし」が書かれていました。
要約すると、「今は煩悩や苦悩で迷っている」→「人生を見直しなさい(煩悩を払拭して精進しろ)」→「正しい道に努力すれば、多くの幸せを招く」ということのようです。
改めて考えると、何不自由なく暮らしているのに、いつも何かに迷っているような雑感があります。
人生を見直すというのは「今の幸せに気づいて感謝しろ」という意味だと思います。そして、正しい道に努力とは「人のためになることをやれ」という意味ではないでしょうか。
要するに、現状に満足して徳を積めば幸せになれる、との教えですね。
おみくじの由来
「おみくじ」は、室町時代初頭に中国から伝わったとされています。
日本では、元三大師という人が元三大師百籤というくじを作ったことが始まりだといわれています。
元三大師は平安時代の天台宗の僧侶で、観音菩薩に祈祷した際、観音籤を授かったことから、紙で啓示を受け取る形式が出来上がったそうです。
要するに「おみくじ」は、観音菩薩に何かをお伺いし、アドバイスが紙に書いて戻ってきたものが始まりだったようです。
現代の「おみくじ」
【大吉】が出たから嬉しい、【凶】だからダメじゃないの、と占いのように思われている「おみくじ」ですが「みさとし」をよく読んでみると、占いではないと気づくと思います。
「おみくじ」には、一般的に「大吉>吉>中吉>小吉>末吉>凶」といった吉凶の判断が先頭に書かれていて、そのあとに「みさとし」が啓示されています。
「みさとし」には、人生に対する大切な考え方が抽象的に書かれているため、誰にでも当てはまります。
というのも、人は常に何かを不安に感じ、それを改善したいといった思いが強いため、目の前にある幸せに気が付かないのです。要するに煩悩に振り舞わされているのです。
そして「みさとし」は、それらに気づきを与えるもので、心に豊かさをもたらしてくれます。
ですから、たまたま引いたおみくじで、【大吉】が出たから当たりだ、【凶】が出たからハズレだ、などと一喜一憂するのではなく、「みさとし」こそが、自分に与えられた課題だと思えば、生き方を見直すきっかけになるのではないでしょうか。
「みさとし」とは
「みさとし」は「御諭し」と書きます。
「御」を「み」と読ませるのは、本来「神霊」に対してだけですが、のちに天皇やこの世のものと思えないほど美しいものに対しても使われるようになりました。
「諭す」とは、「物事の道理をよくわかるように話し聞かせる」という意味があります。
つまり、神様が物事の道理を教えてくれるもので「神のお告げ」「御神託」ということです。
「待ち人」とは
おみくじによく書かれている「待ち人」というキーワードが気になる人も多いのではないでしょうか?
「待ち人」とは「自分の人生に影響を与える人」を指し、恋愛・結婚・就職などにおける人との出会いを意味しています。
「私には出会いがない」と思っている人が「待ち人来る」と書かれた「おみくじ」を引いたとたんに、良い出会いがあったということがあります。
これは「当たり」を引いたわけではなく「おみくじ」を引いたことにより「気づき」があったからなのです。
人は、毎日のように新しい出会いがあるのですが、常に自分のことで心がいっぱいだと、せっかくの出会いにも気づけなくなっているのです。
それが「待ち人来る」の一言で、今まで気づけなかった出会いに注意を向けることになるのです。それが、心の余裕「気づき」です。
びっくりするような「おみくじ箱」
伏見稲荷大社の裏参道『産場稲荷社』から、東の方向(稲荷山方面)に「間力大神」と書かれた扁額が掲げられた鳥居があります。
「間力」とは、この世の流れを司るエネルギーを意味しているそうで、災害を代わりに受けてくださるといった「間力身代わり小法師」なるお守りがあります。
そして、間力大神のすぐ横に、木を彫って造られたすごい形相の達磨像が置いてあります。達磨像のお腹には大きな穴が開いていて、その中に「おみくじ」が入っています。
ここの「おみくじ」は「御守り」として持ち帰るようです。
なんと、も変わった「おみくじ」もあるようですね。
まとめ
「おみくじ」は吉凶を判断するだけのものではなく、神様からのメッセージを受け取るものです。「みさとし」は、神様が物事の道理を教えてくれるもので、人に気づきを与えてくれる「神のお告げ」「御神託」です。
ひょっとして、「おみくじ」は人生を好転させる手掛かりになるかもしれませんね!