PR
言語切り替え

終身雇用がもたらす悪影響とその背景

日本で優良とされている一流企業の影には政府の存在があり、業績不振に陥っても何等かの支援をして立て直している。日銀による日経インデックスのETFを買い込みも、ある意味では上場企業の後ろ盾になっている。このように中央銀行がETFを買い付けているのは世界中を見ても日本だけだ。

アメリカの「リーマン・ブラザーズ・ホールディングス」の経営破綻、近年では中国の国営に近い企業でも経営破綻させているのが世界の状況。

世界では、多少の犠牲を払っても不良な企業を排除しようとしているのに日本は救済。これでは企業に甘えが出て世界規模の競争力が有る無しどころかゾンビ会社が蔓延する。

雇用問題にしても、実力主義とかけ離れた「終身雇用」もどきの制度があり、平等という名の不公平な雇用形態にならざるを得えない部分がある。

日本社会は、いまだに中途半端な「終身雇用」もどきの制度に振り回されている背景には、企業の問題だけでなく国の政策が深く関係している。

このあと長文になるが、私が言いたいことは以下の4つだ。

  1. 経営者は、国の制度に振り回されずに足元を固めるべき。
  2. 経営者は、自分が偉い人だと勘違いして従業員任せにしていては会社の存続が難しい。
  3. 日々努力して頑張っている優秀な従業員は、無能な経営者に使われている場合ではない。自分を大切しろ。
  4. 会社にしがみついている努力しない従業員は、これから成長しようとしている若者の邪魔な存在で将来なないものと思え。


終身雇用が事態を悪くする

終身雇用は労働者にとって良いことだと思っている人が未だに多い。しかし、終身雇用こそが労働者を苦しめることになっていることに気づくべきだ。

アメリカの転職回数の平均が11回/人を超えているのに対して、日本は0.89回/人。ほとんどの人が一生、同じ会社に勤めていることになる。

一見、良いことのように思えるが企業の成長率や存続年数を考えてみると、良いことばかりではない。

アメリカのS&P500をご存じだろうか。S&P500はアメリカでも優良で利益を継続してあげている企業を集めた株式指数。先ごろ、イーロンマスクが率いるテスラが組み込まれたことで話題になり、知りえた人も多いと思う。

歴史を見てみると企業がS&P500に留まっていられる期間はせいぜい20年程度。これは、企業が20年以上優良でいられるのが難しいことを示している。

世界的に優良な企業ですら20年以上の成長が難しいと考えると、40年もの間、従業員の生活を保障する雇用は無謀だといえる。

企業が生き残っていくだけでも厳しい時代に終身雇用をしていれば、人件費が経営の重荷になるため、一定レベルに留める必要がある。

これが30年間、日本人の賃金を上げられなかった原因の1つだ。

終身雇用は人の成長を止める

前段で触れた転職の問題。日本では未だに転職は悪いことだと思っているところがあるため、転職がやりにくいのは確かだろう。

しかし転職そのものは悪いことではなく、むしろ良いことであることに気づくべきではないだろうか。今の会社や仕事がいやで、逃げるように辞めるのは論外だが、自身のスキルを磨くために転職するのは寧ろ良いことだ。

日本人の転職に対する考えは、今まで世話になったから転職せずにこのまま居続けるべきと考える人が多い。それでも、不条理な目に遭い精神的に持たなくなり、転職を逃げ道と考えて辞めていく人がいる。

理不尽な目に遭い会社を辞めていくほとんどの人が未来を築く若者で、原因を作っているのは、役に立たない高齢者の場合が多い。

高齢者で優秀な従業員は経験豊富で、経営者よりも実力がある人も多いが、役に立たない高齢者は自分の立場を保持しようと姑息な考えを持ち若者を苦しめている。

どんな仕事でも、同じ会社で同じ仕事をしていれば5年もすれば概ねこなす事が出来るはず。では、仕事が出来るようになってから何をしているのか。

仕事が出来る優秀な人は、常に新たな事に挑戦し続け益々成長していくが、多くの人は適度に仕事をこなすだけで成長が止まる。そういった人達こそが、姑息な考えをもった高齢者となり、先々会社にとって重荷になる存在だ。

ここからが問題で、成長し続ける人はやがて会社に居ることだけで満足しなくなり、転職(ヘッドハンティングなど)や起業をしていく。しかし成長が止まった人は、会社にどうしてぶらさがって生きていこうか考え、やることは上司のご機嫌取りと忖度になる。

経営者がこの事態を見抜けないと会社の存続は危うい。成長が止まり満足に仕事もこなせない従業員のご機嫌取りに良い気分になって、役職でも与えようものなら経費が嵩むだけ。そして、能力不足に気づいた時にはすでに遅く、高い賃金を払い続けなければならない。

この様に終身雇用は、企業にとって有益で必要な人は離れていき、利益を生まない不要な従業員を、雇い続けることになる可能性がある。

これが日本における、多くの企業組織の実態で「心理的安全性」を追求した「ティール組織」には程遠い。

会社(経営者)はどうするべき

会社(経営者)は優秀な従業員に見切りを付けられないためにやるべきことがある。それは、優秀な従業員をしっかりと評価しそれなりに扱うことと、外部から優秀な人を採用していくこと。人材不足の昨今、どのような方法で人材を発掘しているのか。

派遣会社を使い、事務方の担当者に任せっきりでは良い人材は集まらない。採用したい人物は、あなたが選任した事務方の採用担当より優秀な人、もしくは、特定の分野ではあなた以上の実力がある人物を望んでいるはず。

人を採用する場合、採用担当者より優秀な人が訪れた際、採用担当者はあえて不採用にしようとする傾向がある。これは自分より優秀な人物が採用されたら、自分の立場が危うくなるといった心理が働くからで、当然のことである。

派遣会社は人を紹介し、採用されることで報酬を得ることを商売にしているだけで、紹介する人の良し悪しは関係ない。要するに採用する人の良し悪しは企業の判断。

担当者も派遣会社もあてにはならない。行動を起こすのはあなた(経営者)。不要なものは切り捨て、必要なものを大切にする。終身雇用の呪縛から抜けだし、だれもが認める実力主義の組織づくりで、会社を活性化させていくのが経営者の使命ではないだろうか。

今の時代、「経営者は偉い。仕事は社員任せ」と思っていたら、会社は終わってしまう。経営者に休みが無いのも、従業員以上に仕事をするのも当たり前だと認識しなければならない。


日本企業が終身雇用をやめられない訳

日本では、止めたくてもやめられない「終身雇用」という独特な習慣があるが、「終身雇用」を定めた法律はない。

企業が人を雇い入れる「雇用」は、民法第623条の「雇用契約」と「労働契約法」によって定められていて「無期雇用」と「有期雇用」がある。通常は60歳定年とした「有期雇用契約」を結んだものを終身雇用としているのだ。

契約満了で「定年退職」。契約の途中での退職は「自主退職」と「解雇」があり、会社からの一方的な労働契約の終了を「解雇」という。

「解雇」については、労働契約法 第16条に「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」とされていて、労働者を保護している。

「解雇」の問題で裁判になった場合、90%以上が労働者側の勝利している。裁判にならないようにリストラするには、労働者を納得させるだけの保証が必要になる。

「終身雇用」を定めた法令がなくても、これらの「雇用制度」は、一度雇った従業員を簡単には「解雇」できないことを意味しているのだが、これらの法令は、労働者(弱者)救済のためのもので、どのような従業員でも保護するためではない。

法令は条文だけを読んで解釈していくと姑息になる。法令ができた理由、本質を知って対応することが大切。

企業のなかで、悪影響を与える不要なものは取り除くのは、善良な従業員のためで、実行するのは経営者。

誠意をもって適切な判断をすれば、解決できるのではないか。見て見ぬふりは状況を悪化させるだけ。

企業はどうするべき

企業にとって「解雇」したい従業員といえば、仕事ができ無能な社員だろう。

1人ひとりを正確に評価もせずに、とりあえず雇っておいて、無能だから「解雇しよう」はあまりにも都合が良すぎる。

仮にとりあえず雇ったとしても、やるべきことは「教育」。無能だと思える社員も教育次第で普通に使える従業員になる。それができない企業は経営者が無能だと言っているのも同然だ。

ここで言う「教育」は学校の勉強ではなく、実践での経験に基づく勉強のため、教育する側もそれなりの知識と経験がいる。経営者自ら教育するのが何より良い方法だが、従業員を教育できる優秀な社員を選抜して協力してもらうのも経営者の技量。

「教育」してもどうにもならない社員もいるだろう。それは、その人が無能な訳ではなく、今の仕事に向いていない場合もある。こういった場合は配置換えも視野に入れ、どうにも無理な場合はそれなりの保証をして退職してもらうのがいい。

このように仕事に対して、個人の向き不向きを確認できて退職してもらうのは本人のため。中途半端な生殺しは、将来その個人を苦しめることになる。

しっかりとした誠意ある経営は、法律がどうであろうと会社の方針を貫けるはず。社員教育を充実させて、社員をしっかりと評価する。外部に向けた経営戦略も大切だが、足元が固まっていないと崩壊する。


人(従業員)は流動するもの

前述のとおり日本企業が本当の「実力主義」になるには、まだまだ時間がかかるようだ。常に前向きで挑戦し続ける優秀な人たちはどうするべきなのか。

無能だと思われている従業員たちと肩を並べて「会社のため」に働くのか、見切りをつけて自身の道を行くのか考える必要がある。

仮に「会社のため」と思い居残った場合、無能な従業員の仕事までする羽目になるのは理解できるだろう。しかし問題はそこではない。

企業は有能な従業員も優秀な従業員もいることを前提に、会社が成り立っていけば「良し」とする。従業員の優劣に応じて多少の評価はするが、2倍の仕事をしても所得が2倍になることはない。

このようなことは社内に歪みを生じさせるが、社外の人たちには分からない。一見、優良な企業に見えるのが問題で、経営者は苦労をしてまで改善しようとはしない。

だが、優秀な従業員がいなくなると会社は倒産する。「いやそんなことはない。変わりになる人材は出てくる」と思うだろうが、そんなに都合よくならないのが現実。大抵の場合は、規模を縮小して社員の給料も支払えない場合が多く、倒産した会社もある。

優秀な従業員なら、すでに状況は分かっているはず。あなたの力で改善することを前提に「会社のため」と残るのか、無能な経営者に見切りをつけるのか、よく考えるべきだと思う。

最後まで読んで頂いてありがとう。

結果が失敗だとしても、自分の人生は自分で決めないと楽しいと思えることはない。人生、どの様な生き方をしても「何とかなる(なるようになる)」から、深く考え過ぎないで欲しい。

これは私の意見、参考にして頂けたら嬉しいと思う。