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これからの時代、経営者・リーダーに求められるもの

Company organization

現在、世界は第四次産業革命という大きな転換期に差しかかっています。これは、それまで当たり前とされてきた常識が短期間にして過去のものになってしまうような破壊的な変化です。

現在好調な事業が、明日は不調に陥るかも知れない。このような状況下で求められるのは、外部環境に左右されない「心理的安全性」の高い組織です。

「心理的安全性」とは組織や集団の中で自然体の自分でいられる環境のことで、「心理的安全性が高まると、チームのパフォーマンスが向上する」ということをGoogle社が2016年に発表したことで、世界中で注目が集まっています。

「心理的安全性」の高い組織づくりは、「エンゲージメントを高めて強い組織を作る」ことに類似します。そして、このような組織をつくるためには「心理的柔軟性」が高いリーダーが必要になってきます。

心理的安全性

「心理的安全性」に注目が集まったきっかけは、2012~2015年(4年間)にGoogl社が行った「プロジェクトアリストテレス」で、研究の結果、チームや組織の生産性向上には心理的安全性が重要であるということが結論付けられました。

また、ハーバード大学で組織行動学を研究する”エイミー・C・エドモンドソン”教授は、心理的安全性は「チームにおいて、他のメンバーが自分が発言することを恥じたり、拒絶したり、罰をあたえるようなことをしないという確信をもっている状態であり、チームは対人リスクをとるのに 安全な場所であるとの信念がメンバー 間で共有された状態」と定義しています。

「心理的安全性」の高い組織とは、役職や地位に関わらず、健全なコンフリクトが出来る組織を指します。健全なコンフリクトは、上下関係に捕らわれずに、個人(自分)が関わる仕事について意見を述べることができるので、誰もが納得して仕事をすることが出来ます。

一方、「心理的安全性」が低い組織というのは、組織内に「罰」や「不安」が蔓延している組織のことで、これが度重なると、部下は上司とコミュニケーションを取らなくなり、悪い報告はもちろんのこと、良いアイデアさえ上申しなくなります。

「心理的安全性」が高い組織

  • ”健全に意見を戦わせ、生産的でよい仕事をする”ことに注力できる職場
  • ”組織のために行動する人に協力する”といった組織内に味方がいる職場

「心理的安全性」が低い組織

  • ”組織のために行動しても、罰を受ける”という不安やリスクのある職場
  • ”組織のために行動する人が足をすくわれる”といった組織内に敵がいる職場

「心理的安全性」の高い組織を作るのは、「心理的柔軟性」が高いリーダー

組織を作るのは企業であり、その経営層(経営者)です。「心理的安全性」の高い組織を作るのも経営者が主になって行動する必要があります。

そして「心理的安全性」の高い組織を作るための行動を起こすには、「心理的柔軟性」を高く持つことが大切です。

「心理的柔軟性」とは、心にゆとりをもち、失敗を恐れずに挑戦していく姿勢。ハンブル・リーダーシップ(謙虚なリーダーシップ)、サーヴァント(困ったら助ける)、オーセンティック・リーダーシップ(自分らしさ、ありのまま、個性的)などが挙げられます。

心理的柔軟性

リーダーは完璧であってはいけない。完璧そうに見せるのはもっといけない。リーダーも人間である以上、完璧であるはずがない。リーダーが強すぎると情報は上がってこない。

「完璧に見せたい」「弱さを見せない」といった気持ちは、立場が上である以上、「目下に弱みを見せたくない」といった無理な心理が働いているのです。

このような状態では「心理的柔軟性」を高めるどころか、心が歪み孤立していきます。

「心理的柔軟性」を高める方法は、部下(目下)に対して自分も人間で、弱みもあればダメなところもあることを分からせることです。

何が正解なのか分かりにくい時代に必要な柔軟性は、自分も組織の一員として、分からない事は分からないという。そして、意見を求めるのです。

多様に変化する社会、1人では勝負できません。みんなの意見を聞きながらチームで戦う。目下にも教えを乞う謙虚さこそが、身に付けるスキルなのです。

上から目線だと自分より優秀な人間は集まりません。リーダーが謙虚で人間らしく働きやすい職場を作ることで、自分より能力の高い人間を集めることが出来ます。

自分より優秀な人間が集まる。これは、大変喜ばしいことです。 


コミュニケーションは”挨拶”から

現代社会での”挨拶”は、「目下の者が目上の人に対して先にするものが常識」とされているようですが、そもそも”挨拶”の語源は仏教語で「師匠が弟子の悟りを推し量る事」という意味を持っています。

”挨”は軽く押すこと、”拶”は強く迫る事を意味しています。師匠が弟子の悟りを推し量るために、弟子に軽く問題を出し、それに弟子が自分の悟りを示そうと、精一杯の力で師匠の問題に応える。つまり”挨拶”とは禅問答です。

”挨拶”本来の意味を知ると、いかに弟子(部下)を育てるか?といった心が見えてきますよね。

リーダーが「挨拶に来い」と座っていてはコミュニケーションは取れません。同じ目線に立ち、部下の成長を確かめることで、信頼関係が深くなります。

目上からの”挨拶”は効果が抜群で、気軽に力を抜いて「今日の調子は、どう?」と問いかけるだけで、良い事も悪い事も話してくれます。これが生きた情報で改善の手掛かりにもなります。

陰と陽。矛盾を追求

目先のことも大事だが、将来も大事。ある部署が成功して伸びているが会社全体の成功でない。「お客様の満足」「会社の売り上げ、利益」「社員満足」。

経営にはどれも欠かせないことだが、それぞれが互いに引き合う、陰と陽のベクトルです。

このような二律背反をコントロールするには、互いに矛盾することを切り捨てることなく追及することが成長のカギとなるのです。

人間にも良いところと悪いところがあり、それが融合したものが個性で、何かを切り捨てることはできません。

「矛盾を追求する」といった考えも「心理的柔軟性」が成しえることです。

武道と禅

「心理的柔軟性」を高くする具体的な方法として、”武道と禅”に心身を整える心得があります。この学びは、戦いではなく心にゆとりを持つことで人間力を高める事です。

武道(心・技・体)

  • 「心」とは志、精神力、心の強さ、心構え
  • 「技」とは技術、スキル、アウトプット力
  • 「体」とは身体能力、取り組む姿勢、考え方、脳力

禅(調身・調息・調心)

  • 「調身」とは服装や姿勢を調える。
  • 調息」とは呼吸を調える。
  • 調心」とは雑念をはらい心の乱れを調える。

心をコントロールするのは難しいもので、自分を騙して取り繕っても人の心は動きません。意識的にコントロールできるのは行動です。

良い行動は潜在意識に働きかけ、顕在意識に良い影響をもたらします。そして出来上がるのが「心」です。

「心理的柔軟性」を高くする具体的な方法は、心を整える意識を持って日々行動を変えていくことです。やがて、ゆとりのある「心」が備わります。

心を整える意識的行動

  • 体を鍛え姿勢を良くする。
  • 身なりを整え表情を良くする。
  • 呼吸を整え意識を集中する。


休日の会社を覗いてみる

経営者もかつては従業員、自律的に休日出勤した経験があるはず。自律的な行動には、障害となる制約が少ないために仕事がはかどったのではないでしょうか。

時代が変わっても人の気持ちは昔しと変わりません。たまには休日の会社を覗き、自主的に仕事をしている従業員に労いの言葉をかけてみることです。普段と違った雰囲気が分かるはずです。

まとめ

今の時代に求められているのは経営者の「心理的柔軟性」で、組織に「心理的安全性」をもたらすことです。

恐怖や不安を感じることなく、誰もが自由に発言・行動できる組織。「心理的安全性」が担保されていると、従業員は余計なストレスを受けずに仕事ができるため、最大限の能力を引き出すことが出来ます。

このような「心理的安全性」の高い組織をつくるためには、リーダーの「心理的柔軟性」を高めなければなりません。

「心理的柔軟性」が高ければ、優秀な人間が集まり、より良い組織がつくれます。そのために自身の人間力に磨きをかけることが、最も重要なことではないでしょうか。