京都コンサートホールで聴く「筝の古典から現代まで」

歳の離れた妻の友人がコンサートホールで筝独奏をするということで、筝と三味線のコンサートに行ってきました。

場所は京都コンサートホールのアンさブルムラタ。音響効果が良い小ホールなので演奏者の指の動きや息使いが身近に感じ取れます。

建築家「磯崎新」|京都コンサートホール
ポストモダン建築を牽引した建築家の「磯崎新(いそざきあらた)」の作品。 建築物は立方体、円筒形、立方体格子の3つの幾何学的な形から出来ています。 異空間を感じるエントランスホールと螺旋のスロープ。

岩堀敬子と門下生|筝の古典から現代まで

妻の友人(Kさん)は沢井忠夫(さわいただお)先生に指導を受けられた岩堀敬子先生の門下生。独奏された曲は、今は亡き沢井忠夫先生が1978年に作曲された「賛歌」という曲で、古典ではなく現代的な創作曲です。

賛歌(SANKA)

曲全体は、休みなく演奏されるが、中間に緩徐な部分をはさんで、大きくは三つに分けられる。第一の部分は比較的叙情的に讃歌が歌われ、第二の部分は自由なリズムのなかで、そして第三の部分はこまかい音型が次々に現れる中で独特の音の世界をくり広げている。讃歌は、自然の美、人間の愛、そして芸術の深さに触れた時におこり、人の内に昇華され、外に向って溢れて、やがてそこに夢と詩が生まれる。1978年作曲。[作曲者:沢井忠夫]

引用:沢井忠夫記念館HP

Kさんの演奏は70歳とは思えないほど力強く素晴らしいものでした。Kさんは筝の他にフラメンコ舞踊をやっていて、最近ドラム演奏も始めたそうです。そのような底力はどこから湧いてくるのかと思ったのですが、トレーニングジムで鍛えているそうです。すごいですよね!

岩堀先生も77歳だとステージで仰っていましたが、ステージで演奏する姿はバイタリティーに溢れ、まったく年齢を感じさせませんでした。

コンサートで演奏された曲は沢井忠夫先生と沢井比河流先生(沢井忠夫の長男)が作曲したものが5曲と、宮崎道雄(みやざきみちお)作曲の「春の海」、松浦検校(まつうらけんぎょう)作曲の「末の契り」の8曲。

普段聞いている筝と三味線は妻が演奏する生田流の地歌(古典)が多く、このコンサートのような現代的にアレンジした筝曲は目新しく新鮮に感じます。

演奏された楽器は筝が主で三味線と尺八。中でも一般的よく使われている十三絃筝以外に重低音が響く十七絃筝(筝曲家の宮崎道雄が生み出した筝)の音は体に響きます。

演奏中に「こま」を動かしてチューニングを変えたり、倍音(ハーモニックス)も使う。時にはボディーと絃を叩きパーカッションを入れることもあり使えるテクニックを駆使しているような演奏です。なかでも筝爪をつけた右手の鋭い音と左手で弾く柔らかい音色のダブルピッキング奏法(私が付けた奏法名で本当はなんというのか分かりません)が魅力的でした。

この演奏会は沢井筝楽曲院が後援しているので、楽曲院現会長の沢井比河流先生と沢井麗先生も出演されて生の筝演奏が聴けたことに感動しました。

沢井比河流先生は、元ロックバンドのメタルギタリストで海外アーティスト(舞台衣装や髪型)のようなファッションです。先生が演奏する十七絃筝は繊細かつ迫力があり体全体で聴くことができました。

最高に感動した曲は、沢井比河流先生と沢井麗先生のデュオで「光々」。

日本の和楽器はこれからも伝統を引き継ぎながら、新しいジャンルと融合して成長していきます。

日本人なら是非、聴いてほしいと思います。

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