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『碁盤の儀』は5歳を迎えた子供たちが碁盤の上から飛び降りる儀式です。これには、碁盤の目のように筋目正しく立派に成長するようにといった願いが込められています。
元々は皇室の伝統行事で、男児が初めて袴をはく儀式『着袴の儀』または、髪のすそを切りそろえて成長を祝う儀礼『深曽木の儀』と呼ばれていましたが、近年では男女を問わず七五三の儀式として多くの神社で行われています。
ここ今宮神社では、七五三のお祝いに訪れる参拝者のために、毎年11月の週末には拝殿で『碁盤の儀』が行われます。
『碁盤の儀』は子供が、盤上に置いた青い石を踏み、右手に扇、左手に橘を持って南の方向に飛び降ります。
陰陽道では「碁盤」は宇宙を表し、盤上に置いた青い石は大地・月、春の色や清めの水などを表現しており、右手に持つ扇は世の中に羽ばたけるように、左手に持つ橘はいつまでも元気にといった願いが込められているそうです。
なぜ「碁盤」を使うのか?
皇室の行事で碁盤が使われる理由は、囲碁の起源と陰陽道が深く関わっているようです。
囲碁の起源は諸説ありますが、4000年以上前に中国で誕生し、奈良時代(710年)~平安時代(1185年)に日本に伝わったとされていて、『源氏物語』や『枕草子』にも描写され、貴族のたしなみとして好まれていました。
尭帝(中国の伝説に登場する君子)が囲碁を使った占いで天下を治めたと伝えられていることから、皇室では国を統治すると意味もあったように思えます。
そして陰陽道では、対局者が陰と陽の碁石(白と黒の碁石)を置いて陣を作っていくのは天地創造だとされていて、碁盤が宇宙、碁石は天体、盤の四隅は四季、碁盤に刻まれた目の総数361(縦19本、横19本)は一年、中央の天元のまわりに配された星は東西南北乾坤艮巽の8方位を表すとされているようです。
また、筋目正しく立派に成長して欲しいと願う碁盤の目は、『太刀盛り』といって、均一に延ばした漆を日本刀に乗せて、下書き線に寸分違わずに振り落として刻んで作るのだそうです。
これを知ると『碁盤の儀』がより神聖な行事だと感じます。
今宮神社の境内
紅葉スポットとして有名ではありませんが、七五三の季節は境内できれいな紅葉が見られます。また、東参道(正参道)には名物の「あぶり餅」もあります。