中小企業は大企業と比べて、圧倒的に人が少ない。そのため、社員の重要性が相対的に高いといえる。
例えば中小企業では、優秀な社員が1人辞めるだけで廃業や倒産に至る事もある。それに引き換え、大企業ではたとえ社長が辞めたとしても大した影響はない。
中小企業では新卒者の採用が難しく、人手不足の状態が続いてきた。そして、高齢化が進む日本国内では人材を確保することが益々難しくなっていくと予想される。
また、中途採用にしてもキャリアを積んだ優秀な人材を採用するための資金力も大企業のほうが勝っている。
では、中小企業の人材は?打つ手がないのか?と思ってしまいそうだが、社長がリーダーシップを持つことで解決できる。
社長が持つべきリーダーシップとは
ある新入社員の質問
- この会社の魅力は何ですか?
- この会社の将来性は?
- この会社で私は成長できるの?
- みんな社長に従っていて大丈夫?
この質問には「お金」の臭いがしない。純粋に会社と自分の将来性(数十年先)を案じているだけ。そして、会社は社長(経営者)次第で成長もすれば倒産もすると理解している。
多くの従業員は、自分で起業する技量がなくても、会社の経営に間違いがないのか?社長は信頼できる人物なのだろうか?と疑問をもち、会社(社長)を評価している。
中小企業の多くの社長(経営陣)は、従業員に評価されているなんて思ってもいないだろうが、従業員も自分の将来がかかっている以上真剣に評価している。そして、これは単純な不平不満でないことも理解しておく必要がある。
人出不足の昨今、優秀な従業員に見切りを付けられないためには、社長!あなたのリーダーシップが必要です。
真のリーダーシップとは
リーダーシップを辞書で引くと、以下のような定義になっている。しかし、これは表面上の定義で、会社を経営している経営者ならもっと深く掘り下げて考える必要がある。
指導者としての地位または職責。指導権。主導権。
統率力。指導者としての能力・資質。引用:広辞苑
社長が持つべきリーダーシップとは、従業員や自分が指名した役員などに認められ結果を出すこと。
そもそもリーダーとは、グループの仲間が認めて押し上げられてなるものです。従業員から以下のように思われていたらリーダーの資格があると思って良いのではないだろうか。
- 仲間からリーダーに相応しい人物だと認められている
- 仲間からリーダーになって欲しいと思われている
- 生涯、このリーダーについて行こう(一緒に仕事をしていたい)と思われている
では、どのようにしたら真のリーダーになれるのか?経営学のピーター・ドラッカーのリーダーシップの定義では以下の3点が掲げられている。
ピーター・ドラッカーのリーダーシップの定義
- リーダーシップは資質ではなく仕事である
- リーダーシップは地位や特権ではなく責任である
- リーダーシップとは信頼である(つき従うものがいることである)
そして、具体的に責任の所在を明確に定義して、ブレない信念ともいえる名言がある
真のリーダーは、他の誰でもなく、自らが最終的に責任を負うべきことを知っているがゆえに、部下を恐れない。
ところがエセリーダーは部下を恐れる。部下の追放に走る。
部下を激励し、前進させ、誇りとする。
部下の失敗に最終的な責任をもつがゆえに、部下の成功を脅威とせず、むしろ自らの成功と捉える。
引用:P.F.ドラッカー『プロフェッショナルの条件』
社長に「すべての責任は俺が取るから、やってみろ!」といわれたら、これほど力強いものはない。
これが紛れもない真のリーダーシップではないだろうか?
そして、このように力強いリーダーになるためには、仕事への情熱・真剣さ・誠実さが必要で、磨くものは人格。
まとめ
大企業とは違い、中小企業では社長が真のリーダーになり従業員すべての信頼を得る必要がある。そして、信頼を永続させるための結果を出すことが重要になってくる。
信頼の永続は、現場第一主義とし常に従業員とともに働く姿勢を持っていれば得ることが出来る。命令と指示だけでは不十分だと思えば間違いはない。まして、結果に対して従業員を批判することは責任の押し付けになり、エセリーダーだと認識しておくことが大切。
社長とは特別な権利を与えられた立場ではなく、特別に重大な責任が与えられた立場だと肝に銘じておかなければ、自分に甘えがでる。
真のリーダーが大切にすること
- 仕事に熱意をもって真剣に、誠実に取り組むこと
- 信頼を得るには、すべの責任を持つこと
- 優秀な社員を繋ぎ止めておくには、人格を磨くこと
信頼を失う行為
- 特権の乱用
- 責任逃れから来る従業員の批判と追放
- 好き嫌いによる人事評価(昇進や報酬の優遇)
この記事は、数多くの中小企業の経営者と付き合って実感している事を元にまとめたもので、実際に従業員の信頼を失い倒産した企業もあれば、いまだに成長し続けている企業もある。
また、これは経営者向けに書いたものだが、一般の人や新入社員の人にも読んで頂きたい。というのも、人生も会社経営も人の信用を得て成長していくことに違いはない。
人生もまた経営や。君らは自分の人生を経営している経営者という意識を持たなあかん
引用:松下幸之助 談