Language:English
設 計:安藤忠雄建築研究所/安藤忠雄(あんどうただお)
竣 工:1984年(1991年、二期工事によって増床)
用 途:商用施設
所在地:〒604-8004 京都府京都市中京区三条通河原町東入中嶋町92
京都の木屋町三条(きやまちさんじょう)を流れる高瀬川(たかせがわ)のほとりに「TIME‘S(タイムズ)」という建築物が建っています。この作品は、京都の北山通に建っている「B-LOCK北山」と同様に、コンクリート打放しにコンクリートブロックで造られた1980年代の安藤忠雄氏らしい設計です。
この作品は、街中を流れる高瀬川との一体化をコンセプトとしているようで、どことなくフランク・ロイド・ライトの「落水荘」を意識したように感じます。
私は、建物を高瀬川と結び付け、人と水の触れ合いを取り戻すことによって、景観の保存と同時に、街に新しさを吹き込むことを求めた。
引用:安藤忠雄が描いたビルの設計思考
記憶が正しければ、完成当時はビアホールでした。店内も外装と同じ、コンクリート打放しにコンクリートブロックというシンプルな空間になっていて、高瀬川のせせらぎが心地よく響いていました。また、店内を照らす灯りがビアジョッキを透して、キラキラと光っていたのを覚えています。
その後は、最先端のファッションを提供する高級アパレル店などが入居していました。その頃は、京都屈指の繁華街に建つ斬新なデザインの建築物と、アーティスティックなファッションとの組み合わせの相性が良いこともあって、多くの若者を魅了していました。
しかし、2020年1月頃から流行した新型コロナの影響を受けて、繁華街の勢いが衰え、ついに空き店舗になりました。
現在の「TIME’S(タイムズ)」
現在は大手金融機関より登記などを請け負っている「大澤事務所㈱」という会社が所有しており、リニューアル(改修工事)を経てテナントを募集しているようです。
今回はテナント募集中で閉鎖されていたため、立ち入ることができませんでしたが、大澤事務所さんのWebサイトでは間取りなどを見ることができますので、興味があればチェックしてみて下さい。
大沢事務所Webサイト:「TIME’Sビル」テナント募集の案内
さいごに
この建築物について思ったことは、内外コンクリート打放しとコンクリートブロックであることから、夏場は涼しくていいのですが、冬場は寒々しく感じるため、入居する店舗もそれらの条件にあったものでなければなりません。
また、高瀬川の水面と1階床面の高低差が小さいため、豪雨などで増水すると浸水する恐れがあり、これもまたテナント側で考えなければならない課題になりそうです。
とはいうものの、春になると高瀬川沿いに植えられた桜が大変美しく、水面近くの1階からの眺めはTIME’Sならではの景色です。