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織田信長が愛した金平糖は、戦国時代に宣教師が献上したとされる砂糖菓子です。その頃の金平糖は、1種類作るのに数日かかったそうで、一般の人が食べることができないような高価なお菓子だったようです。
ほとんど見かけることができなくなった当時の金平糖ですが、その製法を一子相伝というかたちで引き継いでいるのが、1847年創業の「緑寿庵清水 (りょくじゅあんしみず)」です。日本唯一の金平糖専門店であるため、平日でも特別な贈答品として、求めにやって来る人たちでにぎわっています。
平成12年には、京都文化博物館「異国の風－江戸時代京都が見たヨーロッパ」に展示されたこともあって、南蛮渡来の菓子というだけではなく、歴史ある芸術品だともいえます。
その昔は、金平糖を作っているところを見学させてもらえたのですが、残念ながら今は見ることができません。唯一、店先のウィンドウに展示されている釜が、当時の様子を物語っています。
伝統的な製法の金平糖にはレシピというものがなく、釜で転がる金平糖の音を五感で感じながら作るそうです。また、気温や湿度などの気候に合わせて「蜜の濃度」「釜の温度と角度」を調整するといった職人の感覚もなくてはならないそうです。
熟練の職人が五感を使い、熱した釜を回しながら「蜜をかけて、コテで混ぜる」といった工程を、2～3週間も繰り返すことによって完成する金平糖は、小さな宝石のようにも見えます。
これが、2週間かけて金平糖が出来上がっていく様子です。気が遠くなりそうですね！
販売数量が限定の金平糖
店内に入って驚いたのが、販売数量が限定されているものや、受け渡しまで2週間ほど待たなければならない予約販売の製品がほとんどだったことです。出来上がるまでの日数を思うと「なるほど」です。数を売るより品質にこだわっているようですね。
展示商品
金平糖の由来
金平糖は、1546年にポルトガルから伝わった西洋文化のひとつで、砂糖が貴重であった当時の日本にとっては、公家や位の高い武士でなければ口にすることができませんでした。
宣教師ルイス・フロイスの書翰によれば、永禄12年 (1569) 4月16日に、二条城に信長を訪ねた時、ろうそく数本とフラスコ入りの金平糖を贈ったことが記されており、当時はまだ製造法はいっさい秘密であったそうです。
日本で金平糖が作られるようになったのは、貞享5年 (1688) 刊の井原西鶴著『日本永代蔵』に金平糖の製法が記されていることから考えると、西洋から伝わってから100年ほど後ということになります。
金平糖の語源は、ポルトガル語の「confeito（コンフェイト）」であり、当時は「金米糖（こんべいとう）」ともいわれていたそうです。現在では、関東地方で「こんぺいとう」、関西地方で「こんぺんとう」と呼ばれています。
まとめ
「緑寿庵清水」は、日本唯一の金平糖専門店です。お店は気軽に入ることができて、小さいながらも程よくまとまっています。1,000円以下の小袋なども販売されているので立ち寄ってみてはいかがでしょうか。金平糖の認識が変わるかも知れません。