前回の記事では、ベアタンク水槽に必要最小限の機材(水槽・照明・フィルター)を紹介しました。あとは冬場に備えてヒーターを準備すれば熱帯魚を飼育することができます。
今回は、ベアタンク水槽で初心者が簡単に楽しめるグッピーの産卵と稚魚の飼育について紹介します。
グッピーの生態と特徴
グッピーの原種は南米北部のトリニダド、小アンチル諸島、ベネズエラ、ブラジル、コロンビア、ギアナで「硬骨魚綱 カダヤシ目 カダヤシ科 (Poeciliidae, Cyprinodontiformes, Actinopterygii)に属する淡水魚です。環境適用能力・繁殖力が旺盛で、原産地の南米のほかに世界中で帰化しており、日本でも野生化したグッピーがいます。
体長はオスで3~4cm、メスで5~6cmとメスの方が大きい傾向にあり、オスは尾ビレが大きくて鮮やかな色をしていて美しいのが特長です。
メスはメダカに似ていますが、メダカは卵を産むのに対して、グッピーは卵を胎内で孵化させてから産む卵胎生という繁殖形態なので、産み落とすと同時に泳ぎ回ります。
寿命は1年ほどですが、繁殖力が強いため稚魚の隠れる(成魚に捕食されない)環境があれば、すぐに水槽いっぱいになります。
グッピーが初心者にお勧めの理由
熱帯魚は「グッピーに始まりグッピーで終わる」と言われるくらい熱帯魚飼育の初心者から上級者まで幅広く飼育されています。1匹数百円と初心者にお手頃な安価なグッピーもあれば、1匹数万円といった高額なグッピーもあります。
熱帯魚の価格は丈夫なほど安価で、飼育が難しいものほど高額になる傾向にあるので、初めて熱帯魚を飼育するなら安価なグッピーから始めるのがお勧めです。
初心者にお勧めのポイント
- 比較的安価で販売されている
- 丈夫で飼育がしやすい
- 色がカラフルで見た目に美しい
- 繁殖が楽しめる(卵を胎内で孵化させるので、小さな稚魚が生まれてくるところを観察できる)
ベアタンク水槽でのグッピーの産卵と飼育
グッピーは一度の繁殖で平均30~50匹の子供を産むとされていますが、条件がそろえば100匹以上産むこともあります。生まれたての稚魚は5mm程度と小さく、すぐに隔離しなければ親魚に捕食されてしまいます。(グッピーは自分が生んだ子供でも食べてしまう)
底砂の敷いてある水槽では、生まれたてのグッピーが砂の隙間に身を潜め成長することもありますが、まったく隠れる場所のないベアタンク水槽の場合、生まれたグッピーはすべて成魚に食べられてしまいます。
このようなデメリットを解消する方法としては産卵ケースに隔離するのが一般的ですが、ベアタンク水槽のメリットを損なわないような装飾品で稚魚の隠れ場所を作る方法もあります。
それではグッピーの産卵と飼育について、私が使い勝手が良いと思った産卵ケース「サテライト」と、ベアタンクでもメンテナンスがやりやすく稚魚の隠れ場所を作る「ビー玉水槽」を紹介します。
産卵ケース「サテライト」
アクアリュウム用品店ではグッピー専用の産卵ケースが販売されています。種類は大きく分けて水槽内に設置するタイプと上の写真のように水槽の外に引っ掛けるタイプがあります。
いろいろなタイプの産卵ケースを試しましたが、水槽内に設置するタイプは水槽の上部の一部が塞がり内部の掃除がやりにくくなることから、最近では㈱スドーの「サテライト」という外掛け式産卵飼育ボックスを使っています。
サテライトは外掛け式の産卵ケースで、水槽の縁に引っ掛けて使うタイプの製品で、エアーリフト方式で水槽内の水をケース内に汲み上げ、オーバーフローした水は水槽内に戻すといった循環方式です。
- 水槽の外側に設置するため水槽のメンテナンスが簡単
- 別の水槽のように取り扱いできて、産卵や成長の様子がよく見える
- エアー量を調整するだけで流量が調整できる
- 外掛け式はケースの外側が濡れないためメンテナンスが簡単
- 使用しないときは、エアーチューブを外し水を捨てるだけでOK
詳しくは、以下の公式サイトで確認してくださいね!
エアーポンプ
エアーリフト方式のサテライトにはエアーポンプが必須になります。
今回、写真で紹介しているベアタンク水槽に使用しているエアーポンプは120cm水槽に使用していたものを転用していますが、サテライトのエアーリフトでは水圧があまりかからないので、静かで安価な水作㈱の「水心 SSPP-7S(30~45cm水槽用)」がお勧めです。
「水心 SSP-7S」は後述のグッピーの子供を育てる専用水槽に使用してますが、音が静かで小型水槽では十分な機能を発揮しています。
詳しくは、以下の公式サイトで確認してくださいね!
ビー玉水槽(水槽にビー玉を入れる)
底砂を敷かないのがベアタンク水槽ですが、メンテナンスが容易な装飾品として底にビー玉を敷き詰めたり、ビー玉を入れた金魚鉢を水槽内に置いたりすると、生まれたての子供が「ビー玉」の隙間に潜り込んで、成魚に捕食される確率が低くなります。
以下の写真はイメージをつかんでもらうために、ビー玉を入れた金魚鉢を水槽に入れたものなのでデザイン的な問題はありますが、金魚鉢ごと取り出せば、ビー玉の隙間に入った稚魚を簡単に捕獲でき、別の水槽(または容器)に移し替えることができます。
面白いでしょ!
この方法は、子供を産みそうなメスを産卵ケースに入れる必要がないので、「子供を産みそうだ」と判断できない初心者にとっては便利な方法ですが、成熟するまで育てるのが難しいため、早めに別の飼育用容器にうつす必要があります。
- 子供を産みそうなメスを観察で判断する必要がない
- 稚魚はビー玉の隙間に落ち込んだ餌を食べるので個別に餌を与える必要がない
- ビー玉の置き方(敷き方)によって水槽を美しくデザインできる
- ビー玉は軽く洗うだけでメンテナンスが完了する
- 同じ水槽内に成魚がいるためほとんどの稚魚が食べられてしまう(私感では生存率5%)
- 水槽メンテナンス時に稚魚を隔離する必要がある(ビー玉の隙間に潜り込んでいるため捕らえるのが大変)
- 稚魚が成熟するまで育てるのが難しい
グッピーの子供を育てる専用水槽
これが、生まれたての稚魚を隔離して飼育している専用の水槽です。加湿器の役目も果たしてくれるので、寝室に置いて寝る前に眺めています。
↓↓生まれてから約2ヶ月で1cm程度になり、ようやくオスとメスの区別ができそうです。
この水槽セットは20年程前に子供に買い与えたものなので、詳細な紹介は出来かねますが分かる範囲で記載します。(現在は販売されていない製品もありますが、今なら1万円以下で同等の水槽セットが揃います)
- 水槽:テトラジャパン㈱、」現在はスペクトラム ブランズ ジャパン㈱に社名変更
サイズ;W300×D200×H300 - 壁掛け式ろ過装置:ジェイクス㈱
スリムフィルター L(適合水槽:60L以下) - 照明器具:不明
観賞魚の照明がLEDになった頃の製品のため照度は引くのですが、スイッチでブルーのLEDに切り換えできます - エアーポンプ:水作㈱
水心 SSPP-7S(30~45cm水槽用)
今回はここまで
今回は実際にベアタンク水槽でグッピーを飼育している様子を紹介しながら、産卵と稚魚の飼育について解説しました。
次回は「水槽のメンテナンス」について紹介します。