京都|東福寺の渓谷(洗玉澗)四季の情景

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臨済宗東福寺派大本山の東福寺は、京都でも指折りの紅葉スポットとして知られています。なかでも、境内を東西に縦断する「洗玉澗せんぎょくかん」という渓谷を染め上げる紅葉は見事なもので、通天橋つうてんきょう臥雲橋がうんきょうという2つの橋廊はしろうからの眺めはまさに絶景です。

このように、紅葉で有名な東福寺の洗玉澗ですが、季節ごとに変わる景色もまた素晴らしいものです。今年に入って久々に大雪に見舞われた京都。洗玉澗も美しく雪化粧されました。

季節で移り変わる洗玉澗の情景

これが、臥雲橋から通天橋を眺めた洗玉澗の季節ごとの情景です。(※ 写真をクリックすると拡大表示します。)

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冬の洗玉澗

降り積もった雪は周囲の音を吸収するため、まるで別世界にいるのかと思うほど静かで神秘的な雰囲気です。この季節は観光に来る人が少ないため、タイミングが良ければこの情景を独り占めできる贅沢なひと時が味わえます。

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春から夏の洗玉澗

春から夏にかけては新緑の季節です。青々と茂るモミジは目に優しく清涼感を感じます。この時期になると、どこからともなくホトトギスやメジロなどの野鳥がやって来て、美しい鳴き声を聞かせてくれます。

渓谷であるため真夏でも気温が上がらず、天気の良い日は心地よい風が吹いています。

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秋の洗玉澗

言わずと知れた秋の紅葉。シーズン中は多くの観光客でにぎわいます。

伽藍面(がらんづら)と呼ばれている東福寺

臨済宗大本山には、「禅面ぜんづら」という呼び名があることをご存じでしょうか。禅面とは、お寺の特徴をひと言で表した呼び名で、東福寺は大伽藍を有するお寺であったため「伽藍面がらんづら」と呼ばれています。

【伽藍とは】

伽藍がらんという言葉は、サンスクリット語の「サンガ」と「アラーマ」の複合語で「サンガーラーマ」が語源で、音写「僧伽藍摩(そうぎゃらんま/そうがらんま)となり、「伽藍」と略称されることになりました。

サンスクリット語の「サンガ」は仏の教えを信仰する仲間で、「アラーマ」は楽しむ場所という意味があります。「サンガーラーマ」はこれらを合わせて修行僧が集まって仏道を修する閑寂な場所というのが元々の意味合いでしたが、のちに寺院の建造物を「伽藍」というようになったそうです。

ようするに「伽藍」とは、お寺にある建造物のことで、禅宗では、山門、仏殿、法堂、庫裡くり、僧堂、浴室、東司とうすの七つの建物を合わせて七堂伽藍しちどうがらんといい、東福寺には日本最大級の「七堂伽藍」があることから「伽藍面がらんづら」と呼ばれているのです。

禅面(ぜんづら)のまとめ

参考ですが、禅面には以下のようなものがあります。

  • 大徳寺は「茶面ちゃづら:千利休が帰依。茶道流派三千家(表千家・裏千家・武者小路千家)の菩提寺。多くの塔頭に茶室がある。(2023年3月26日まで「聚光院じゅこういん」において茶室が特別公開されています。見どころは茶室と障壁画。モナリザと引き換えに海外で展示されたことがある狩野永徳の障壁画は必見)
  • 南禅寺は「武家面ぶけづら:足利家や徳川家など、武家の篤い帰依を得て発展。
  • 建仁寺は「学問面がくもんづら:開創した栄西禅師ようさいぜんじをはじめ、詩文芸術に秀でた禅僧を輩出。『五山文学』を作り出した。
  • 東福寺は「伽藍面がらんづら:三門、本堂などの大伽藍を有するお寺である。
  • 妙心寺は「算盤面そろばんづら:財政苦難で節約に徹し組織運営を合理化し、臨済宗きっての巨大教団を形成した。
  • 相国寺は「声明面しょうみょうづら:僧達の「お経」や「回向文えこうもん」の曲節に美しさがある。

まとめ

東福寺には「伽藍面」と称される国宝や重要文化財に指定された名建築物と、国の名勝にも指定されている「北斗七星」や「市松模様」を表現した「方丈庭園」があります。また境内を流れる渓谷にかかる、臥雲橋、通天橋、偃月橋は東福寺三名橋と呼ばれています。

有名なモミジの紅葉は欠かすことのできない圧巻の情景ですが、春の「青モミジ」や雪が降り積もる洗玉澗の情景は紅葉シーズンと同様に一見の価値があります。

アクセス

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最寄り駅は京阪電鉄の「東福寺駅」または「鳥羽街道駅」です。東福寺の入り口「日下門」までの距離は「鳥羽街道駅」からのほうが若干近いのですが、道中に塔頭が多い「東福寺駅」のほうが見学できるところが多くあります。

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