今回は、バレンタインデーの起こりから、日本独特の文化になったチョコレートにまつわる話しをまとめました。なかでも、会社での「義理チョコ」については、女性の気持ちに重点を置きながら、本来の意味について考察しています。
会社で「義理チョコ」を贈ろうかと考えている女性だけでなく、贈られる男性にも女性の気持ちを理解する上で読んでもらいたい内容です。
バレンタインデーの起こり
バレンタインデーは、ローマのキリスト教司祭であったバレンティヌスの殉教した日とされています。
3世紀(西暦268年~270年)のローマ帝国の時代にクラディウス2世が愛する人を故郷に残した戦士は士気が下がるとして婚姻を禁止していました。これに異を唱えたバレンティヌスは、皇帝の命に反して多くの兵士たちを結婚させました。
この噂を耳にした皇帝は激怒し、「二度とこのようなことがないように」と忠告を与えるとともにローマ宗教に改宗するように命令しました。ところが、バレンティヌスはこの命令に従わなかったため、ついに西暦270年2月14日に処刑されました。
その後、ローマ帝国が弱体化する一方でキリスト教の勢力が増し、コンスタンティヌス(西暦312年~377年)が初のキリスト教皇帝となったのです。そして、バレンティヌス司祭の勇気ある行動を讃え、愛の守護聖神「聖バレンタイン」として祀ることになり、殉教の日である2月14日が「バレンタインデー」となったのです。
もしもローマ帝国の勢力が弱体化しなければ、キリスト教皇帝が誕生することもなく、St Valentine’s Day(バレンタインデー)は、忘れられた日になっていたのに違いないでしょう。
バレンティヌス(Valentinus)
ヴァレンタイン(英: Valentine)とも呼ばれ、カトリック教会においては「聖バレンチノ(ヴァレンタイン)司祭殉教者」と表記される。
バレンタインデーとチョコレート
バレンタインデーにチョコレートを贈るのは日本独自で文化です。アメリカでは男性が女性に贈り物をする日で、ホワイトデーはありません。また、イギリスではカップル同士がプレゼント交換する日で、花やジュエリーなどが主でチョコレートは添え物程度です。
日本にバレンタインデーにチョコレートを贈るという習慣ができたのは、お菓子メーカーの販売促進における戦略が始まりだとさています。
お菓子メーカーの戦略説
- 昭和10年に神戸のモロゾフ製菓が、外国人向け英字新聞『ザ・ジャパン・アドバタイザー』で、「あなたのバレンタインにチョコレートを贈りましょう」という広告コピーを掲載したのが、バレンタインチョコの始まりという説
- 昭和33年には、大田区の製菓会社メリーチョコレートカムパニーが、キャンペーンを始めたことで、学生層にバレンタインチョコが浸透し、その後主婦層にも普及していったという説
義理チョコの始まり
義理チョコは英語圏に存在しない日本独特の文化で、日頃の感謝の気持ちを伝えるために贈るものです。そのため男女の区別はなく、仲の良い友人や会社の上司や同僚など幅広くチョコレートが贈られます。
では、なぜ日本でこのような習慣ができたのでしょうか。それは昔から、お世話になっている人に贈る「お歳暮」や「お中元」という習慣に関係しているように思えます。
若い人から見ると「お歳暮」や「お中元」を贈るのは敷居が高い面もあり敬遠されがちでしたが、それに置き換わる「義理チョコ」は手軽でありながら同様の意味を持っているので、絶好の機会となったと考えられます。
そういった意味を持っていることから、会社では女子社員が日頃の感謝を込めて上司や同僚にチョコレートをプレゼントするようになったと思っています。
会社で義理チョコは必要か?
「義理チョコ」が「お歳暮」や「お中元」と同様に、お世話になった方に感謝を伝えるといった意味がるとするならあっても悪くはありません。
しかし、社内で手渡しする「義理チョコ」は人目につくことから、だれかが上司に贈っているのをみると自分もプレゼントしなければいけないといった脅迫めいた観念を持つ可能性があるため、会社の方針として廃止するのが正しい選択です。
廃止といっても、過剰な「義理チョコ」を無くすだけですから、普段から世話になっている上司や同僚に贈るのは問題ありません。実際、私の会社でも「義理チョコ」を廃止していますが、本当に感謝を伝えるための「義理チョコ」は存在しています。
義理チョコが評価に影響があるのか?
これは少し気になることですが、「義理チョコ」によって人の評価に影響を及ぼすことはほとんどありません。なぜなら、「義理チョコ」程度で人を評価する会社は経営そのものに問題があります。もしそのような会社に勤めているのなら、今すぐ辞めないと将来が危ういといってもいいでしょう。
お世話になっている人には贈りましょう
お世話になっている人に贈り物をするのにバレンタインデーは絶好の機会です。これからも良い関係を続けるために感謝の気持ちを込めて「義理チョコ」を贈りましょう。
贈るものは感謝の気持ちであって「チョコレート」ではありません。高価なチョコレートは、あなたを大切に思っている人に余計な気遣いをさせることになるので必要ありません。
チョコレートを選ぶのも気持ちです。値段ではなく心を込めて選んだチョコレートにメッセージカードを添えるとなお感謝の気持ちが伝わります。
まわりの視線が気になる方へ
「義理チョコ」といえども上司や同僚にチョコレートを贈るのに抵抗を覚えるという方もいるでしょう。しかし、義理チョコは、日頃の感謝を伝えるものであることをシッカリと認識していれば、人目を気にすることはなくなります。
あくまでも自分の感謝の気持ちを伝えるための贈り物ですから、堂々と分かりやすく渡す方が誤解がありません。こそこそすると気持ちが伝わらないので堂々と渡すようにしましょう。
まわりの人には「いつもお世話になっていますから」と一言で理解してもらえるはずです。
無駄遣いしないために
先日デパートの特設会場で、6個で4千円以上もするチョコレートを見ました。美しくデコレートしたチョコレートは見ているだけも楽しいのですが、1粒が千円近くもするのを買う人がいるのかと疑問に思っています。
男性の多くはこの値段ことを知らないので、無理をして高価なチョコレートを贈っても、その価値がわかる人は少数です。それより気持ちに重点を置いた方が良いのではないかと思います。
愛情や感謝を伝えたい人は、あなたのことを大切にしたいと思う気持ちがある人に違いないはずです。そのような人が高価なプレゼントを望んでいるはずもなく、むしろ何もなくてもよいと思っている人ではないでしょうか。
最後に無駄遣いしないために考えて欲しいことをリストにしておきますので、今一度よく考えてみて下さい。
- 贈る相手の気持ちになってみる
- 相手が受け取るのは気持ちであってチョコレートではない(高価なものより心)
- 恋人や家族なら高価なチョコレートを贈るより普段欲しがっているものを検討してみる
- 義理チョコは感謝の気持ちが伝わるように吟味して選ぶようにする
まとめ
今回は、バレンタインデーの起こりから、日本独特の文化になったチョコレートにまつわる話しをまとめました。
なかでも「義理チョコ」は感謝の気持ちを伝えるという意味では大切な意味を持ちますが、強制になるような環境は無くさなければなりません。