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退職後の手続き|健康保険の切り替え

退職すると、勤務先で加入していた健康保険の資格がなくなり、「健康保険任意継続」、「国民健康保険」、「家族の健康保険(被扶養者)」のいずれかの手続きが必要になります。

手続きをしない状態で、事故に遭ったり病気になった場合、健康保険の適用が受けられないので高額な医療費を支払わなければならないので注意しまよう。

転職が決まっていても、退職の日から次の会社に入社するまで期間が空くような場合でも手続きを行うようにしてください。

制度があるのに利用しない、人に聞いても良く分からない。損をしないために、元総務部で数々の事例を見てきた私がお教えします。詳細は各手続先で確認のうえ自己責任で手続きしてください。

手続きには期限があります。退職を決めたら、相談に行くところは区役所の健康保険を扱っている窓口現在加入している健康保険協会です。身分証明書があれば相談にのって頂けるので、早めに行きましょう。知識が不十分でも状況を説明すれば何とかなります。

退職後の保険切り替え手続き

  1. 今まで加入していた健康保険の任意継続被保険者制度を利用する。
  2. 国民健康保険に加入する。
  3. 家族の扶養に入る。

健康保険を切り替える選択肢は以上の3種類ですが、支払う保険料を比較して手続きをして下さい。なお、国民健康保険に加入する場合、職理由退によっては保険料が軽減される場合があります。

会社に勤めていて、重篤な病気にかかり辞める事になった場合、傷病手当が受け取ることができます。

退職理由

いかに健康保険料を安くするか、他の制度が受けられるかを検討するには、退職理由が重要に待ってきます。

  • 傷病手当金が受けられるか?(病気やケガで休業し、その後退職になる場合がある)
  • 会社都合での退職か?
  • 自己都合での退職か?

傷病手当金

傷病手当金は、病気休業中に被保険者とその家族の生活を保障するために設けられた制度で、被保険者が病気やケガのために会社を休み、事業主から十分な報酬が受けられない場合に支給されます。

この制度は退職後の切り替え手続きではありませんが、ストレスの多い社会では、うつ病になり休業。その延長で退職といったケースもあるので説明します。

詳細は、加入先の健康保険協会などで確認してください。

傷病手当金の支給条件

  1. 退職まで継続して1年以上健康保険に加入していたこと
  2. 業務外の事由による病気やケガの療養のための休業であること
  3. 仕事に就くことができない状態であること
  4. 連続する3日間を休み4日以上仕事に就けなかったこと
  5. 休業した期間について給与の支払いがないこと

退職まで継続して1年以上健康保険に加入していたこと

新入社員の場合に多いケースですが、入社後1年経たない間に病気になり退職する場合は支給されません。転職などで以前に勤めていた会社から継続して1年以上の加入期間があれば至急されます。

病気であっても休暇が長期に及べば、よほどでないと会社は優遇してくれません、長くても1ヶ月程度が限界と思っておきましょう。

業務外の事由による病気やケガの療養のための休業であること

保険適用でない診療を受けた場合でも、仕事に就くことができない証明(医師による診断書)があれば支給対象になります。うつ病などの精神疾患なども対象ですが、美容整形などは対象外になります。

また、業務上、通勤災害は労災保険の給付対象となるので認められません。

仕事に就くことができない状態であること

仕事に就くことができない状態の判定は、療養担当者の意見等を基に、被保険者の仕事の内容を考慮して判断されるのですが、医師の診断書に「就業不可」の記述が証明になります。

かかり付けの医師に相談するのが良い方法です。

連続する3日間を休み4日以上仕事に就けなかったこと

業務外の事由による病気や怪我の療養のため、3日間(待期)があれば、その後の仕事に就けなかった日に対して支給されます。待期には、有給休暇、土日・祝日等の公休日も含まれるため、給与の支払いがあったかどうかは関係ありません。

また、就労時間中に業務外の事由で発生した病気やケガについて仕事に就くことができない状態となった場合には、その日を待期の初日として起算されます。

休業した期間について給与の支払いがないこと

生活保障を行う制度のため、給与が支払われている間は、傷病手当金は支給されません。ただし、給与が傷病手当金の額よりも少ない場合は、その差額が支給されます。

任意継続被保険者の期間中に発生した病気・ケガについては対象外になります。

傷病手当金が支給される期間と支給額

傷病手当金が支給される期間は、至急開始した日から最長1年6ヶ月です。支給額は、支給開始日以前の12ヶ月の平均した額に基づいて算出した日額の2/3が支給されます。

そして、資格喪失後(退職後)も継続して支給されます。

健康保険料の検討|退職理由が自己都合?会社都合?

自己都合の場合は単純に、任意継続と国民健康保険の保険料を比較して選択することになります。任意継続の保険料は現在加入している健康保険協会などで確認でき、国民健康保険の保険料は区役所の窓口で相談できます。

配偶者など、扶養家族がある場合、任意継続することで会社に在籍していた時と同じように扱われますが、国民健康保険には扶養制度がないため、それぞれが加入する必要があります。従って、保険料を比較する場合、これらも一緒に検討する必要があります。

任意継続は現在支払っている保険料(給与からの天引き)の概ね2倍で上限があります。
保険料は全国保険協会(協会けんぽ)のHPで確認できます。
令和3年度保険料額表(令和3年3月分から)

国民健康保険は「平滑割」「均等割」「所得割」があり、「所得割」は前年の所得によって計算されます。この計算は複雑なので区役所に問い合わせましょう。源泉徴収票と身分証明書を持参すれば相談にのっていただけます。

会社都合により退職を余儀なくされた場合、国民健康保険には保険料が軽減される制度があります。この制度は保険料の計算に使われる前年度の給与所得を30/100とみなして計算されるため、かなりのメリットがあります。

対象者

  1. 特定受給資格者
    倒産,解雇等の理由により再就職の準備をする時間的余裕がなく離職を余儀なくされた人。
    ※雇用保険受給資格者証の離職理由が11,12,21,22,31,32の場合。
  2. 特定理由離職者
    期間の定めのある労働契約が更新されなかったことその他やむを得ない理由により離職した人。
    ※雇用保険受給資格者証の離職理由欄が23,33又は34の場合。

※離職日の時点で65歳以上は対象外ですが、条例減免が受けられる場合があります。

雇用保険受給資格者証とは、ハローワークで雇用保険、失業給付の受給手続き後、受給説明会で渡される書類であり、失業手当を受け取る資格(受給資格)を証明するもので、離職理由が記載されています。

国民健康保険の保険料が軽減される制度は、相談窓口は区役所で、雇用保険受給資格者証を持参すれば手続きが出来ます。しかし、雇用保険受給資格者証はハローワークが発行するまで1ヶ月程度かかるので、会社からもらった離職票を持参して相談するのがお勧めです。

このほか新型コロナウィルス感染症による、傷病や死亡の場合は減免又は免除される場合があります。

健康保険切り替え手続き

  任意継続被保険者制度 国民健康保険
手続きの期間 退職の翌日から20日以内 退職の翌日から14日以内
手続きの場所 加入していた健康保険組合または居住地域の社会保険事務所 住所地の市区町村役所の国民健康保険担当窓口
必要なもの
  • 健康保険任意継続被保険者資格取得申請書
  • 住民票
  • 1カ月分(退職日によっては2カ月分)の保険料
  • 印鑑
  • 健康保険の資格喪失日がわかる証明書
  • (健康保険被保険者資格喪失証明書、退職証明書、離職票のうちどれか1通)
  • 各市町村で定められた届出書
  • 印鑑

家族の扶養に入る

年収が130万円未満で、家族(扶養入ろうとしている親や子供)の年収が、自分の年収の2倍以上あれば、その家族の扶養になれる可能性があります。

「同一世帯に属してるかいないか」などの条件があるので、家族の健康保険の保険者(健康保険組合または全国健康保険協会)に問い合わせてみましょう。