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エンゲージメントを高めて強い組織を作る

外部環境の変化によるリモートワークの導入や働く社員の価値観の多様化により働き方が大きく変化する中、社内の関係性やコミュニケーションが希薄化したり経営方針や理念が伝わりづらくなりつつあります。

どんな状況下においても、環境に左右されない強い組織作り。それが「組織エンゲージメント」です。

近年、若年層の職業観の変化や終身雇用制度の崩壊、少子化に伴う人手不足が進み、企業は長期的観点から人事制度や人材育成を考える必要性に迫られています。ここでは「組織エンゲージメント」を明確にした上で、従業員と組織のエンゲージメントを高めるために必要なポイントを整理します。

エンゲージメントとは

「エンゲージメント」とは「会社と従業員」及び「従業員同士」の相互信頼関係が確立されている状態をさしており「エンゲージメント」を高める事で強い組織を確立することが出来ます。

engagement(エンゲージメント)

  1. 従事[没頭]していること
  2. 婚約、結婚の約束◆【同】betrothal
  3. 〔義務となる〕言質、誓約
  4. 〔会合などへの出席の〕約束、予定
  5. 〔短期間の〕雇用、仕事(の契約)
  6. 《軍事》戦闘、交戦
  7. 〔歯車などが〕かみ合っていること
  8. 順調に進行[動作]していること
  9. 〔活動などへの積極的な〕関与

英和辞典

「エンゲージメント(engagement)」の本来の意味は「結婚、誓約、約束、契約、かみ合う、順調に進行・・・・」ですが、これらの意味を統合して出来た言葉が人事領域での「組織エンゲージメント」です。

これは個人の働き甲斐や成長が、組織力を高める。「個人の発展は会社の発展」といった考え方で、会社と従業員の強い結びつきを作るという意味合いで使われています。

エンゲージメントが高い組織には、従業員一人ひとりが会社や組織を信頼し、自身と事業の成長に向けて意欲的に取り組むという特長があります。

エンゲージメントと従業員満足度の違い

エンゲージメントと混同されがちな言葉に「従業員満足度」があります。

エンゲージメントは成長意欲、貢献意欲、帰属意識、心理的安全性、責任感など「会社と従業員」及び「従業員同士」の信頼関係がベースになるのに対して、「従業員満足度」は、処遇や環境に対する評価であり、企業側の取り組みに応じて満足度が変わります。

エンゲージメント

  • 外部環境に左右されない。
  • 安定している。
  • 周囲に伝播する。

従業員満足度

  • 会社が与え続ける必要がある。
  • 不安定で脆い。
  • 個人に完結する。

「従業員満足度」は会社が従業員に与えることがベースになっているため、環境の変化とともに報酬や待遇が悪化すると満足度が失われます。しかし「エンゲージメント」は信頼関係がベースになっているため状況が悪化しても一丸となって力を発揮することができるのです。

エンゲージメントを高める方法

エンゲージメントの高め方は、企業の組織にあった取り組みが主体となるため、これが正解といったマニュアルはありません。しかし従業員が社内で存在価値を見出すことが出来れば、おのずと組織力が強まります。

これは、会社の状態が良くなれば従業員の待遇も良くなる。そして従業員の働き次第で会社の状態が良くなるといった働き甲斐が持てるようになります。

近年、学校における校則を生徒で作らせるといった事例が幾つかあり、生徒は自分たちが作った校則であるため全員が守るそうです。企業と学校は違いますが、こういった試みも相互信頼関係を強める方法だと思います。

中間層の意識を高める

組織が大きくなると「パレートの法則」が当てはまるケースが大きくなります。

「パレートの法則」を組織に当てはめると、積極層(活動的に仕事をしている人)が20%で、残りの80%は指示に従いそれなりに仕事をしている人になります。また反対側から見ると、消極層(消極的な人)が20%で、それ以外の人が80%ということにないます。

これを整理すると「積極層」が20%、「消極層」が20%、残りの60%が「中間層」になります。これが経済学で用いられる数字で、100人規模以上の組織では顕著に表れます。

パレートの法則(パレートのほうそく)は、イタリアの経済学者ヴィルフレド・パレートが発見した冪乗則。経済において、全体の数値の大部分は、全体を構成するうちの一部の要素が生み出しているとした。80:20の法則、ばらつきの法則とも呼ばれる。

引用:Wikipedia

なぜ中間層の意識を高めるのか

多くの組織づくりはトップダウンを意識して「積極層」の強化を図ります。それはそれで重要な事ですが、なぜ「中間層」の意識を高める必要があるのでしょうか。

「中間層」はうまく指導すれば「積極層」と同じ動きをしますが、うまく巻き込めないと「消極層」と同じ動きになってしまう可能性があります。つまり「中間層」の60%の動きで組織の強さの優劣が決まるのです。

継続的に組織の意識を高める

「エンゲージメント」を高めるには、基盤となる「会社と従業員」及び「従業員同士」の相互信頼関係が重要で、継続的なコミュニケーションが不可欠です。そして、会社の運営の一部に参画させ組織運営を図っていくのです。

具体的な施策(例)

  1. 経営理念の浸透。
  2. インセンティブ制度の導入。
  3. 情報の共有。
  4. 社員教育、福利厚生。
  5. その他。(企業あった取り組み)

経営理念の浸透

経営理念は企業にとって最も大切なもので、会社の進む方向を定めるものです。どんなに立派な経営理念であっても浸透していなければ企業(経営陣)の一人よがりで終わってしまします。

一流企業のHPでは「経営理念・コンセプト」などが記載されたページを目にすることがあります。しかし私たち部外者が読んでも、「いい事が書いてあるな」程度の認識しか持てず、本当の経営者の意図を読み取る事は難しいのではないでしょうか。

企業内においても同じで、社内に掲げられた「経営理念」を見ているだけは、従業員も経営者の意図を理解できないのです。そして「基本方針」があっても 変化し続けるビジネス環境に追従しなければならないために詳細な部分は日々変化させなければなりません。

行うべきことは、これらを念頭において「経営理念」を噛み砕いて従業員に説明しなければなりません。そして変更する場合もリアルタイムな説明が必要です。

  • 従業員に経営理念を理解させる。
  • 方向転換は迅速は情報発信。
  • 定期的・継続的に発信。

インセンティブ制度の導入

経済学におけるインセンティブ(incentive)は目標やノルマを達成した際に支給されるボーナスや報奨金という意味で用いられ、成果報酬と捉えられることが多いのですが、本来の意味は意欲を引き出す目的として外部から与えられる刺激のことを指し、ラテン語の「励ます」という意味をもつ”incentivus”が語源です。

「エンゲージメント」を高めるための「インセンティブ」は、成果報酬にあたる「報奨金」や「歩合給」ではありません。

成果報酬は競争を意識させるもので使い方によっては逆効果になります。目的は相互信頼関係です。従って求められているのは、公正は評価です。

年功状列や好き嫌いで評価すると、上司より部下が優秀といった組織になり、優秀な人材が離れていきます。公正な基準に従って評価しなければなりません。これは従業員のモチベーションを上げるのに欠かせないことです。

「会社がしっかりと自分を見てくれている」と従業員が認識することで相互信頼関係が生まれます。

  • 年功序列をやめて実力主義にする
  • 公正な評価基準を確立する(従業員すべてが納得いく公正な基準)

情報の共有

企業も規模が大きくなれば、事業も多岐に及びます。縦割りの組織では他部署が何をやっているのか分からないケースも多分にあります。だからといって社内の全情報を全従業員がすべて共有しようとすると情報の処理だけで業務時間が終了してしまいます。従って、部署や個人の業務に必要な情報を的確に伝えることが大切になります。

トップダウンではなく部署どうしの交流も大切です。こういった交流を持つことで、今まで外注に頼ってきた業務も社内で完結する場合もあります。部署どうし自由な交流と、多くの部署を交えたプロジェクトなども考えていくべきです。

情報を開示することで従業員の仲間意識が強まり相互信頼関係も強まります。

  • 情報の開示。(機密事項以外は開示する)
  • 情報は整理して部署ごとに必要な情報を的確に与える。

  • 情報は従業員がいつでも手に入れられるように常設する。

  • 部署どうしの交流とプロジェクトチーム。
  • 情報伝達は迅速かつ継続的に実施。

社員教育と福利厚生

企業の発展は従業員の質の高さに比例します。人間性、技術力を磨く教育は欠かせない事でしょう。

また、従業員が安心して働ける職場作りも欠かせません。安心・安全は福利厚生です。そして個人には個人特有の家庭の事情などもあるので、企業と従業員が話し合える場を設けておくことも重要になります。

効果の検証

「エンゲージメント」を高める取り組みは、企業ごとの組織の違いや取り巻く環境の変化などで、一度で成功することはありません。さまざまな方面から継続的にアプローチする必要があり、環境の変化によっても取り組みも変化するので、効果を検証する必要があります。

「計画(Plan)」「実行(Do)」「評価(Check)」「改善(Action)」を繰り返しましょう。

PDCA

  • Plan:具体的な施策を計画する(何のため、どのように)
  • Do:施策の運用を促進
  • Check:運用の結果を評価(問題点の洗い出し)
  • Action:効果を高めるために具体的に改善策を立てる

これからの時代、企業の発展は従業員の成長とともにあります。