学生時代にアルバイトを選ぶ場合、時給は必ず見ますよね。でも社会人になってから月給は知っているけど時給は知らないといった人が多いようです。また、長年勤務していると昇進して役職がつくことがあります。そして責任を果たすために勤務時間が長くなり実質の時給が下がる場合があります。
日本には最低賃金制度があり、この制度は最低賃金法に基づいて国が最低賃金を定め、企業などの使用者はそれ以上を支払わなければなりません。(正社員もアルバイトやパート、どれも最低賃金以上を支払う必要があります。)
自信の時給を計算してみて最低賃金を下回るようなら会社や仕事の在り方を考えることをお勧めします。
時給換算で給与を計算する方法
正社員の給与はアルバイトやパートと違い、さまざまな手当が含まれているうえに社会保険・年金などが差し引かれるのでわかりづらくなっています。
時給を計算すると、勤続年数が長い部長さんより入社3年~5年の事務員のほうが高い場合もあります。
自分の市場価値を知るためにも大変重要なことなので理解しましょう。
時給換算に必要な情報
◎給与を時給換算するために必要な情報
- 年間給与の合計金額
- 時給換算から除外する手当の金額
- 年間の所定労働日数
- 1日あたりの所定労働時間
※除外する手当(厚生労働省の「最低賃金の対象となる賃金」に基づく)
- 精勤手当・皆勤手当
- 家族手当
- 通勤手当
- 時間外勤務手当
- 休日出勤手当
- 深夜勤務手当
最低賃金の対象となる賃金は、毎月支払われる基本的な賃金です。通勤手当やボーナス(賞与)は最低賃金の対象となる賃金には含まれません。
結婚手当等の臨時に支払われる賃金、賞与、時間外割増賃金、休日割増賃金、深夜割増賃金、通勤手当、家族手当、精皆勤手当は最低賃金の対象となりませんので、除外して計算する必要があります。
厚生労働省
時給換算の具体例
◎前提条件(仮定)
- 年間給与の合計:360万円
- 時給換算から除外する手当の合計:60万円
- 年間の所定労働日数:240日
- 1日あたりの所定労働時間:8時間
◎計算方法
- 年間給与の合計(360万円)―除外する手当(60万円)=300万円
- 時給計算の対象となる金額(300万円)÷所定労働日数(240日)=25万円(日額)
- 日額(25万円)÷1日あたりの所定労働時間(8時間)=0.15625万円
※上記の条件で計算した時給は約1,563円となります。
みなし残業
「みなし残業」とは、あらかじめ残業があるものと仮定して一定額の残業代を支給することで、一部の零細企業では「みなし残業」を採用しているところがあります。
「みなし残業」を採用していても、一定額の残業代で無制限の残業を強いることは違法になります。
例えば、残業時間20時間、残業代3万円(労働基準法:通常時間給の1.25倍以上でなければならない)という基準があった場合でも20時間を超えた残業代は支給しなければなりません。
実残業がみなし残業より少ない場合
実労働の時間がみなし残業時間内に収まった場合、使用者は、実際に残業した時間にかかわらず、あらかじめ固定されていたとおりの残業代を労働者に支給する必要があります。
実残業がみなし残業より多い場合
実労働がみなし残業時間を超過した場合、使用者は、超過した分の残業代を、固定された残業代とは別に支給する必要があります。
人知れず頑張っている社員の悲しい現実
一般社員からみて仕事ができる人は人知れず努力しています。そして、それなりの評価を得て役職に就く人、評価を得られずに転職や起業をする人がいます。
彼らは、「収入」より「社会的責任」や「自己の成長」に重きを置いているので「時間単価」が低く、自費による経費が多く掛かっても仕事を辞めようとはしません。
時給換算出来ない社員たちの事実を知る
役職者となると役職手当がつき残業手当がつかなくなるのが一般的です。いってみれば「みなし残業」で超過分の支給がない手当のようなものです。
よほど優秀な人なら就業時間内で「さよなら」と帰宅できますが、多くの責任が圧し掛かる重要人物となるとそうはいかない。
◎人知れず頑張っている人の仕事(実例)
- 1日の就業時間:14時間(朝7時~夜9時)
- 1年間の労働日数:350日(休日:15日/年)
- 通勤時間:往復:2時間(仕事が深夜に及びタクシーで帰る日もあれば泊まる日もある)
- 余計な経費:1日3回の外食(早朝に家を出て深夜に帰宅するため自宅での食事は摂れない)
- 会社が認めない経費:食事や贈り物など(それなりの成果を出すにはクライアントとの付き合いもあり経費が掛かる。しかし、表面化していない隠れたものに会社は経費を認めようとしない)
◎これを「お金」に換算すると
自費による経費(年間)
- 余計な交通費や宿泊費:10万円
- 食事代:105万円(千円×350日)
- 会社が認めない経費:50万円
※年間経費の合計:165万円(自費)
収入の計算
最低賃金の計算とは異なりますが、拘束時間(就業時間+通勤時間)で考えます。そして時間単価を1,000円と仮定して計算。
- 年間の拘束時間(16時間×350日)×1,000(時間単価)=560万円
- これに自費の経費(165万円)を足すと725万円になります。
これを年収1,000万円と仮定して時給を割り出すと
- 年収(1,000万円)-自費の経費(165万円)=835万円
- 835万円÷拘束時間(5,600時間)=0.1491・・・万円
※この条件で計算すると時給が約1,492円になります。
この計算でみえることは条件によっては年収360万円の人より年収1,000万円の人の方が、時給単価が低い事になります。
お金に捕らわれず、自ら使命感を持って仕事をしている、このような人はどこの企業でも少なからずいます。そして彼らが会社を支える重要な人物でもあります。
しかし、自信の健康は?家族は幸せなのだろうか?と疑問が湧く!
まとめ
- 最低賃金を知る
アルバイトやパートだけでなく正社員にも最低賃金は適用される。 - 給与を時給換算する
時給換算に含むもの含まれないものを理解し自信の給与を時給換算してみる。これは、自信の価値を判断する一つの材料になる。 - みなし残業
みなし残業は一定価格で無制限に仕事をすることではない事を理解する。 - 将来、時給だけで判断できない事もある
条件によっては年収1,000万円より年収360万円のほうが、時間給が高くなる。収入を重視するのか?収入以外に何を得るのかよく考える必要がある。
自信の生き方は自分で決めたらいいと思いますが、基本的なことは押さえて理解しておきましょう。知っているのと知らないでは決断に大きな差がでます。
良き人生を送りましょう。