転職活動を開始して、志望する会社に入社するまでには、さまざまな書類と手続きが必要となります。
会社に勤務しながら転職活動を行う場合と、退職してから転職活動を行うのとでは、公的手続きに違いがあり、必要となる書類も後者の方が多くなります。
当該記事では、比較的に個人負担が少ない前者の場合を想定して、応募、内定、退社、入社とそれぞれのタイミングで必要となる書類をまとめました。
スムーズに転職活動ができるように事前に確認して準備をしておきましょう。
転職活動で必要となる書類
転職する場合、志望する企業に自分を知ってもらうための書類が必要となります。応募書類は書類選考にも使用されるので自身を魅力的にアピール出来るものでなければなりません。
履歴書(必須)
経歴書は、氏名、連絡先、年齢、学歴、職歴、資格など基本的な情報が記載された書類で、採用担当者が応募者のプロフィールを確認できるためのものです。
企業によっては独自のフォーマットを作っている場合がありますが、市販されている履歴書との違いはほとんどありません。
職務経歴書(必須)
職務経歴書は、履歴書をより掘り下げて詳しく記載する書類で、いままでの業務経験や入社後に活かせるスキルを自由に記載し、志望する企業に対してアピールするためのものになります。
一般的には、A4サイズ2~3枚程度にまとめて提出します。常日頃から業務内容やスキルアップ状況を日記につけておくと纏めるのが楽になます。
ポートフォリオ(任意)
ポートフォリオとは作品集のことで、趣味やボランティアなどの活動でも一定以上の成績を収めた実績があれば、力量をアピールすることができます。
転職活動から入社まで
転職活動は主にハローワークを通じて仕事を探す場合と、転職サイトに登録してエージェントと相談しながら志望する企業を探す方法があります。
そして志望する企業が決まれば書類選考、一次面接(人事担当者による面接)・二次面接(役員面接)と進み、合格すれば「内定」の通知が届きます。
内定承諾書(入社承諾書)
「内定」の通知は、メールや口頭だけの場合と「内定通知書」を発行する企業があります。そして「内定通知書」と同時に届くのが「内定承諾書」という書類で、「内定承諾書」は企業に就職することを約束する書類になります。
「内定承諾書」を受け取った企業は、入社が決定したとみなし従業員として受け入れる準備が進められるので、提出した後に辞退すると企業に迷惑がかかることを認識しておきましょう。
入社時に必要となる書類
転職の場合、「社会保険」や「雇用保険」など、再就職先の会社に引き継いでもらうことになります。これらの書類には、退職する会社から受け取らなければならない書類と自分で準備しなければならないものがあります。
以下に、一般的に求められる書類を一覧にしていますが、会社によっては他に必要となる書類があるので、採用通知などに記載されている内容を確認しましょう。
なお、提出書類に不安がある場合は、遠慮をせずに電話やメールで確認するのが良いでしょう。
マイナンバー
社会保険(医療保険・年金保険・介護保険・雇用保険・労災保険)の手続きに必要となるもので、マイナンバーカード(個人番号)の写しなど、個人番号が確認できるものを提出します。
雇用保険被保険者証
雇用保険に加入していることを証明する書類で、失業給付(一般的に失業保険と言われている)を受ける際に必要な書類です。
再就職先での雇用保険の再開手続きに必要な書類で、一度会社を辞めた場合でも雇用保険番号は引き継がれます。
年金手帳
年金手帳には国民年金加入者一人ひとりに与えられた基礎年金番号が記載されていています。厚生年金加入の際にもこの年金番号が必要で、転職先での被保険者資格取得届に必要なものになります。
企業によっては年金手帳の代わりに、基礎年金番号を伝えるだけでよい場合やマイナンバーで代用することもあります。
源泉徴収票
源泉徴収票は年末調整に必要な書類です。前職の会社から交付されたものを提出することで、自分で確定申告をすることもなく手続きがスムーズになります。
扶養控除(異動)申告書
所得税法上の扶養親族を申告する書類で、給与所得者が配偶者控除や扶養控除を受けるために必要な書類です。扶養の有無に関係なく、指定の書類に現状を記載して提出します。
健康保険被扶養者(異動)届
健康保険法上の扶養者(被保険者)を届け出る書類で、所得額の少ない家族を扶養者として加入させることができます。
指定の書類に必要事項を記入して提出します。なお、扶養者のマイナンバーも必要となります。
給与振込先届出書及び口座開設
給与の振込先を伝える書類で、多くの場合は会社独自の用紙に記入して提出します。また、会社によっては金融機関を指定する場合もあるので、その場合は事前に口座を開設しておきましょう。
健康診断書
健康診断は労働安全衛生法で義務付けされていて、転職の場合でも雇用時の健康診断は必要となります。
前職の職場で1年以内に定期健康診断を受けた場合は、健康診断書を提出することで良い場合もありますが、会社によっては指定する医療機関などでの受診を求められる場合があります。
退職時に必要となる書類
会社を退職する際には、返却しなければならないものと、受け取らなければならない書類があります。これらの書類は、再就職先で引き継いでもらう必要のあるものや、再就職先が未定の場合に社会保障を受けるための重要なものです。
退職後に改めて書類の発行を求めることがないように、事前にチェックしておきましょう。
会社に提出・返却する書類
退職する際には、「健康保険被保険者証」をはじめ、会社から支給されていた備品や身分証明書を返却する必要があります。
会社によって個別のルールが定められている場合があるので、明確に自分個人の所有物でないものは、会社のルールに乗っ取って返却しましょう。
退職願・退職届
退職願は、労働契約を解除したいと申し出るための書類で、退職届は、会社との交渉の結果、労働契約の解除が確定した時に提出する書類のことです。
事務手続きのために提出を求める会社が多く、独自のフォーマットや付随する書類もある場合があります。
退職の申し入れは何日前?
民法では「退職の申し出は2週間前まで」となっていますが、会社によっては就業規則において別の期間が定められている場合があります。
再就職先の都合もあるので、就業規則であまりに長い期間が定められている場合は採用が確定後できるだけ早く、遅くても1ヶ月程度を目安に退職を申し出て退職日を調整すると良いでしょう。
少しの期間でも、お世話になった会社なら就業規則に従うのが、大人としてのマナーです。たとえアルバイトやパートの場合でもスマートな対応に心掛けましょう。
健康保険被保険者証
一般的に「健康保険証」といわれているもので、会社を退職した時点で脱退となるので返却しなければなりません。
資格喪失日以降、誤って使用した場合は医療費の7~9割を返還しなければならなくなるので、速やかに返却しましょう。
身分証明書やIDカードなど
社員証や社章、IDカードなど、会社の従業員であることを証明するものや、社屋に出入りできる鍵、文具などの備品類など、会社の所有物はすべて返却します。
名刺・書類
自分自身の名刺だけでなく、在籍中に交換した取引先の名刺も返却します。また、退職後も継続しているプロジェクトや、手掛けた仕事のメンテナンスに必要となる書類などは、引継ぎ書類にまとめて後任者に引き継ぐようにしましょう。
会社から受け取る書類
会社から受け取る書類は「雇用保険被保険者証」「離職票(1)(2)」「源泉徴収票」「年金手帳」「退職証明書」などが必須で、会社によっては独自で「年金(企業年金など)」に加入している場合もあるので、これらの加入証明証なども受け取るようにしましょう。
雇用保険被保険者証
雇用保険に加入していることを証明する書類です。ハローワークでの「失業手当(正式には基本手当)」の受給手続きに必要となります。
再就職先が決まっている場合は、新しい職場に提出することで、雇用保険の加入を継続する手続きを行って頂けます。
再就職先が決まっている場合、「失業手当」や「再就職手当」を受給することはできないので、内定だけが決まっている場合でも不正受給にならないように注意が必要です。
詳しくは最寄りのハローワーク窓口やTELで問い合わせてみましょう。
離職票(1)(2)
雇用保険の喪失を証明する書類です。「失業手当」を受給しながら就職活動をする場合、ハローワークに離職票を提出して給付手続きを行う必要があります。
再就職先が決まっている場合は必要のない書類ですが、内定取り消しなど予期しない出来事もありうるので入手しておきましょう。
「離職票-1」は雇用保険の資格喪失を被保険者(退職者)に通知するものであると同時に、退職者がハローワークに失業手当の振込先を届け出る書類として用いられます。
「離職票-2」は離職前に支払っていた賃金の状況と離職理由を示すもので、これにより失業手当の金額や給付期間が決定します。
- 会社側が必要事項を記入し、ハローワークが確認・押印したもので「離職票-1」とあわせてハローワークに提出しましょう。
源泉徴収票
所得税の年末調整を行う際に必要となる書類です。再就職先が決まっている場合は新しい職場に提出することで、個人的な手続きは不要になります。
再就職先が決まっていない場合などでは、自分で確定申告を行うことになるので大切に保管しておきましょう。
年金手帳
年金に関する情報が記載されている手帳で、公的年金制度の加入者に交付される手帳です。(令和4年4月以降に発行されるのは「基礎年金番号通知書」)
年金手帳は、自分もしくは会社が保管している場合があるので、会社に預けている場合は退職時に受け取ります。なお、再就職先の会社で資格を取得する手続が必要となるので、新しい職場に提出しましょう。
再就職先が決まっていない場合は、国民年金への切り替えが必要になります。放置しておくと、事故や病気で障害者になった場合に障害基礎年金が受け取れないことや、死亡した場合に遺族基礎年金が支給されない場合があるので注意しましょう。
退職証明書
会社を退職していることを証明する書類です。再就職先が決まっていない場合など、国民健康保険への切り替え手続きに必要となります。
最後に
転職先が決まっていても、退職と再就職までに一定以上の空白の期間がある場合は保険や年金の手続きを自分で行う必要があります。
空白の期間ができないように、双方の会社と退職日と入社日を相談するのが良いでしょう。なお、有給休暇の利用についても迷惑の掛からないように利用するようにしましょう。