建築CAD設計に使っていた、クリエイター仕様のPCモニターをホームシアターに使うことになりましたので、新しいモニターを購入しました。
ホームシアターに使うことにしたモニターは、BenQデザイナーズモニターPD2700Qで、27インチWQHD(2560×1440)の高解像度です。
発色も良く、ホームシアターやゲームに使っても申し分のないモニターです。
同じモニターを購入しようと思いましたが、検討の結果、コストパフォーマンスに優れた、GW2480T(FHD、23.8インチ)を試すことにしました。
モニターの検討
メーカーはお気に入りのBenQに決めていたのですが、1年余り使用してきた経験から、使用用途と使用環境を見直して検討しました。
モニターサイズ
モニターサイズはモニターからの距離(自分の目までの距離)と、画質密度(ppi)を検討した結果、24インチ(厳密には23.8インチ)にしました。
モニターからの距離
モニターパネルから目までの距離は重要で、近すぎると画面全体が見渡せないために、目や首をたくさん動かすことになるので疲れます。また、目の健康を保つためには、遠いことにこしたことはないのですが、遠すぎると文字が小さくて読めないなどの問題が出てくるので、モニターまでの適正な距離を再検討しました。
理想の距離(表示100%で文字が読めるなら遠い方が良い)
モニターサイズ |
モニターパネルから目までの距離 |
24インチ |
70cm~80 cm(最低でも60cm) |
27インチ |
80cm~1m |
モニターからの距離はデスクの奥行きに左右されます。使用している机の奥行きが700mmですので、モニターからの距離は600mm程度になります。また、集中しているときは前のめりになり、モニターとの距離が短くなることがあるため、24インチが最適と判断しました。
解像度|画面サイズと画質密度(ppi)
PPi (pixels per inch)とは、1インチ (約2.54cm)あたりの画素(ピクセル)の数を表す値で、数値が大きくなるほど鮮明に見えます。そしてppiは、モニターのサイズと解像度とも密接な関係があるため、同じ解像度でもモニターサイズによって見え方が変わってきます。
例えば、FHD(1920×1080)の場合、24インチだと約92ppiになり、27インチの場合は82ppiになります。要するに、解像度が同じモニターであれば、サイズを大きくすると画像が不鮮明になるということです。
だからといって必要以上に解像度を上げると、アイコンや文字などが小さな表示になるなどして、使い勝手が悪くなる場合があります。これらは、パソコンの画面設定で概ね解決できるのですが、文字や写真、動画など、さまざまなものを扱うモニターは、扱うものに応じて最適な画面サイズと解像度を選択しなければなりません。
最適なモニターサイズと解像度(アスペクト比 16:9)
モニターサイズ |
解像度 |
ppi |
24インチ |
FHD(1920×1080) |
約92 |
27インチ |
WQHD(2560×1440) |
約109 |
この表でわかることは、24インチのFHDと27インチのWQHDとでは、ppiに大きな差がないということです。
以上のことから、24インチサイズならFHD(1920×1080)で良いと判断しました。
光沢液晶かノングレア液晶
液晶画面の表面処理によって「光沢液晶」と「ノングレア液晶」があります。光沢液晶は画面が鏡のようにピカピカで、色が鮮やかに見えるのですが、室内の照明や窓からの太陽光などが反射して、使用環境によってはかえって見にくい場合があります。
ノングレア液晶は外光の映り込みが少なく、長時間の使用でも目への負担が軽いといったメリットがあります。デメリットは発色が地味で、画面がやや白っぽく見えるといった点がありますが、最近の製品はバックライトの性能や液晶パネルの技術も進んでいるため、ほぼ問題がありません。
光沢液晶(左)とノングレア(右)に同じ条件でLEDライトを照らしてみました。光沢液晶はノングレア液晶と比べ、外光の映り込みがはっきりとわかります。
ノングレアの写真は少しぼやけて見えますが、画面表示の設定をブルーライト軽減にしているためです。モニター右下のボタンで設定を写真に変えてみると、まったく問題なく美しく表示されます。
一見ノングレア液晶より光沢液晶の方が奇麗に見えます。一時期、家電量販店の展示品で光沢液晶が多かったのはこのためで、一瞬の見かけを狙ったものです。
しかし最近では技術が進化し、光沢液晶のような表面上の見かけを使わなくても、美しい表示が可能になったため、ノングレアが圧倒的に増えています。
以上の検討と、今まで使っていたBenQ PD2700Qがノングレアで快適であったため、ノングレアで良いと判断しました。
光沢液晶のメリットとデメリット
メリット
- 色が鮮やか
- コントラストが高く、黒が引き締まって見える
デメリット
- 外光の映り込みが大きく、環境によっては見えにくい
- 目が疲れやすく、長時間の使用に向いていない
- 画面にキズが付きやすい
ノングレア液晶のメリットとデメリット
メリット
- 外光の映り込みが少なく、環境に左右されにくい
- 光沢液晶に比べて目への負担が少なく、長時間使用に向いている
- 光沢液晶に比べてキズが付きにくい
デメリット
- 光沢液晶に比べて発色が地味で、やや白っぽく見える(近年では問題がない)
リフレッシュレートと応答速度
ゲーミング用モニターではないので、以前使っていたBenQ PD2700Qと同等の性能でいいと考え、深く検討しませんでした。
リフレッシュノートとは、1秒間に画面を書き換える回数を「Hz」で表したもので、一般的なモニターは60Hz程度です。144Hzや240Hzといった高リフレッシュレートは、動きが激しいゲームでもスムーズに表示されます。
応答速度とは、1画素の色が異なる色に変わるまでの時間を1/1000秒(ms)で表したもので、一般的なモニターは5ms程度です。応答速度が速いモニターは、残像が少なくなりクリアな映像が表示できます。ゲーマーなどが使用するモニターは1msという高速モデルが主流になっています。
モニターモデル |
リフレッシュレート |
応答速度 |
BenQ PD2700Q |
60Hz |
4ms |
BenQ GW2480T |
50Hz~76Hz |
5ms |
以前使用していたBenQ PD2700Qより劣りますが、ゲームを目的としていませんので、GW2480Tで良いと判断しました。
高画質の5つの要素
高画質といえば、一般的に解像度 (2K、4K、8K)と思いがちですが、本当に高画質の映像を求めるのなら検討する項目が5つあります。
高画質の5つの要素
- 解像度:画像のきめ細かさ
- ビット深度:色・グラデーションのきめ細かさ
- フレームレート:動きの滑らかさ
- 色域:色の鮮やかさ
- 輝度(HDR):画像の明るさ
液晶パネルの種類(TN・VA・IPS)と特徴
GW2480Tの液晶パネルの方式は、視野角が圧倒的に広く、色ずれも少ないIPS方式で、汎用性が高く高性能です。
今回、あえて検討をしていませんでしたが、モニター選びの重要な検討事項の1つでもあるため、簡単に紹介しておきます。
液晶パネルはガラス内に封入した液晶分子を活用して色表現をします。液晶パネルの技術はどんどんと進み、現在は「TFT液晶」と呼ばれる方式が主流になっています。
そして、液晶分子の制御方式の違いにより、大きくは「TN方式」「VA方式」「IPS方式」の3種類に分けられます。
液晶パネルの特徴
方式 |
メリット |
デメリット |
TN方式 |
応答速度が速く、高リフレッシュレート |
視野角が狭く、色ずれも多い |
VA方式 |
コントラスト比が圧倒的に高い 製品によっては視野角が広いものもある |
応答速度が比較的遅い |
IPS方式 |
視野角が圧倒的に広く、色ずれも非常に少ない |
目立ったデメリットはない |
まとめ
仕事に使うモニターということで、低価格で支障の出ないスペックを簡単に検討しました。最近の技術開発のスピードは大変早く、高スペックなモニターがどんどんと開発されています。しかしモニターの性能が良くても、それに付随するさまざまなものが同等以上の性能がなければ意味がありません。
高スペックなモニターの仕様書を読むと、マニアでなくても高スペックな最新機種が欲しくなります。最新機種は高価ですが、次の最新機種が出ると価格は下がります。
どうせ買うなら、手の届く範囲で高スペックなモニターと考えがちですが、使用用途をよく考えて適切に選択することをお勧めします。
仕事で3DCADやCGも扱ってみた感じではPD2700Qより劣ります。しかし3万円以下で購入できるBenQ GW2480Tのコストパフォーマンスは魅力的で満足しています。欲をいえばデュアルディスプレイ用にもう1台と、CG専用にPD2700Qがあれば最高です。
【追記】
実は、つい最近GW2480の後続品にあたるGW2490を購入し、デュアルディスプレイとして使っています。画面サイズは双方とも同じ23.8インチで、高さの外寸はGW2490の方が3mmほど大きいのですが、並べて置いても違和感はありません。
性能もかなり上がっていて、価格は2万円以下ですので、これからPCモニターを検討するのならこちらの方が良いかも知れません。⇒BenQ アイケアモニター GW2490 (23.8インチ)
CAD用PCモニターをご検討中なら、是非参考にしてください。