庭のモミジにご覧のようなサルノコシカケが発生しました。
この付近は2年前からキノコが発生し始め、今年の6月にもドクササコというキノコが大量発生した場所です。
今年6月の様子が↓↓
なんとも気持ちわる景色で、家族は「すぐに取り除いてほしい」というので、すぐに取り除いていたのですが、翌日にはまた新しいキノコが生えてきて、いたちごっこの状態でした。
しかし今回発生したキノコはサルノコシカケで、これもまた1日~2日という短期間で突然に発生しました。そして今日で約2週間ほど経つのですが、徐々に大きくなってきて直径が10cmほどに成長しています。
当然のことながら家族は取り除くように言うのですが「ひょっとすると漢方に仕えるキノコかも知れない。もし、そうだったら高く売れるよ」と言うと、「そしたら大きく育てて売ろうか」という話になりました。
こんな話しは冗談ですが、サルノコシカケに属するキノコは毒性がなく、滋養強壮などに効果があると聞いたことがあるので調べることにしました。
サルノコシカケとは
サルノコシカケを調べてみようと思いましたが、その種類は非常に多く調べるのが面倒になったので、SNSに投稿して呼びかけたところ漢方薬屋さんからフォローされただけで、だれにも正体を教えて頂けませんでした。
仕方なく息子が子供だった頃に買い与えた「日本大百科全書」を調べると、以下のようなことが書かれていてました。
猿の腰掛け
担子菌類、サルノコシカケ目サルノコシカケ科・マンネンタケ科・キコブタケ科の菌類のうち、とくに木質で多年生となるキノコを総称した一般名。中国では「猢猻眼(こそんがん)」と書き、本草(ほんぞう)書でも猢猻眼を用いる。立ち木または枯れ木に生え、棚形か馬蹄(ばてい)形に発達し、年々成長を続けて厚さと幅を増す。数十年を経過した巨大なものは径1メートル、厚さ数十センチメートルにも達する。キノコの下面には無数の微細な管孔(くだあな)が密に並び、その内面に胞子をつくる。管孔は1年ごとに新しく下側に形成されるため、キノコを縦断すると管孔部には多くの層が認められる。サルノコシカケは種類が多く、分類には顕微鏡的特徴も加えなければならないが、縦断面の組織(傘の肉)の色で大別すると次のように分けられる。
(1)傘の肉が白色ないし黄白色で、針葉樹に生えるツガサルノコシカケ、エブリコ、オオシロサルノコシカケ、広葉樹に生えるカシサルノコシカケ、ニレサルノコシカケ(いずれもサルノコシカケ科)。
(2)傘の肉が黄褐色で、針葉樹に生えるモミサルノコシカケ、マツノカタワタケ、エゾノコシカケ、広葉樹に生えるコブサルノコシカケ、メシマコブ、キコブタケ(いずれもキコブタケ科)。
(3)傘の肉がチョコレート色で、広葉樹に生えるコフキサルノコシカケ(マンネンタケ科)。
(4)傘の肉が紫黒色で、広葉樹に生えるクロサルノコシカケ(サルノコシカケ科)。
(5)傘の肉が桃色ないし紫褐色で、針葉樹に生えるバライロサルノコシカケ(サルノコシカケ科)。
これらはいずれも普通にみられる木材腐朽菌で、立ち木に侵入すれば心材または辺材を腐らせ、風倒、風折れの原因となる。こうしたことによって森林は壊滅的被害を受けることがある。また庭木、公園木、街路樹なども、こうした木材腐朽菌によって風折れとなることがあるので警戒しなければならない。ただし、木材腐朽菌が直接に木を枯らすことは少なく、木が材質腐朽病をおこして折れやすくなり、それが枯死の原因となることが多い。なお、サルノコシカケ科のカワラタケには制癌(せいがん)成分が含まれるといわれる。
引用:日本大百科全書(ニッポニカ)
これを要約すると、縦に切った断面(傘の肉)で大別とあり、完全な分類ではなく大まかに分類すると次の1~5の特徴があると書かれていました。(分かりやすいように順序を変換)
- サルノコシカケ科に属するもの 1
断面の色:白色ないし黄白色
針葉樹に生えるもの:ツガサルノコシカケ、エブリコ、オオシロサルノコシカケ
広葉樹に生えるもの:カシサルノコシカケ、ニレサルノコシカケ - サルノコシカケ科に属するもの 2
断面の色:紫黒色
広葉樹に生えるもの:クロサルノコシカケ - サルノコシカケ科に属するもの 3
断面の色:桃色ないし紫褐色
針葉樹に生えるもの:バライロサルノコシカケ - キコブタケ科に属するもの
断面の色:黄褐色
針葉樹に生えるもの:モミサルノコシカケ、マツノカタワタケ、エゾノコシカケ
広葉樹に生えるもの:コブサルノコシカケ、メシマコブ、キコブタケ - マンネンタケ科に属するもの
断面の色:チョコレート色
広葉樹に生えるもの:コフキサルノコシカケ
そして、これらは木材腐朽菌であるらしく、枯死の原因となることがあるそうです。
庭に生えたサルノコシカケの正体は
この百科事典を参考に庭のサルノコシカケの正体を探ってみると、モミジは広葉樹であり、発生したサルノコシカケが白色またはチョコレート色(切っっていないので外観で判断)とするなら、「カシサルノコシカケ、ニレサルノコシカケ」または「コフキサルノコシカケ」ということになります。
そして、これらをたよりにGoogleの画像検索にかけてみると、どうやら「コフキサルノコシカケ」であることに間違いないようです。
コフキサルノコシカケ
更に「コフキサルノコシカケ」を調べていくと、食用には不向きといわれているようで一般的には食べないそうです。
そして、このコフキサルノコシカケが発生すると木を白く腐らせ、何段にも重なって直径が50cmもの巨大になることもあるそうです。
このためか、コフキサルノコシカケが発生してから庭のモミジが枯れてきて、外皮がボロボロになってきていて、今からキノコを取り除いても多分手遅れで、モミジは枯れていくような気がしています。
そういえば2年ほど前、キノコ(ドクササコ)が発生した頃からモミジの木に勢いがなくなり、紅葉の秋までに葉がすべて散ってしまっていました。
漢方に使われるコフキサルノコシカケ
コフキサルノコシカケという名前は表面に白い粉が吹いているのが由来で、漢字で「粉吹き猿の腰掛け」と書くそうです。
そして、エルゴステロール、ユビキノン、ジヒドロエルゴステロールなどを含んでおり、中でも注目の成分が抗腫瘍(抗ガン)作用のあるベータグルカンで、特に食道ガンに有効であるとことが報告されています。
かつては解熱薬、心臓病や半身不随の治療薬として用いられたこともあったようですが、近年では「免疫力の向上」「滋養強壮」に効果が期待できることから、Amazonや楽天でもお茶やサプリメントとして販売されています。
まとめ
今回発生したサルノコシカケは調査の結果、どうやら「コフキサルノコシカケ」のようで、食用には不向ではあるようですが、漢方としては様々な効能があるようです。
モミジの木は残念ですが、この際コフキサルノコシカケを大きく育てて、何処か教育機関に寄付をしてみたいと思っています。目指すは日本一の巨大コフキサルノコシカケです。
2年前の記事「ドクササコ」には興味のある方は、下のリンクを見てください。